フボヤマ世界を転生由奈、佐倉美咲が旅行する話です。フボヤマのメインエピソードでは書ききれなかった部分を、観光という形で描いていきます。Aと相談して作ったコンテンツです。
私は、佐倉 美咲。
世界を旅する、ただの旅行者だ。仕事でも取材でもなく、
見るために、歩くために、この国を訪れている。
(佐倉 美咲画像)
写真を撮り終えて顔を上げると、
そこはもう、私の知っている世界ではなかった。
けれど、不思議と怖さはなかった。
人間ゴルフ発祥の地として名高いアルヴァリア王国は、
今もこの競技の「正統」を自認する国のひとつだ。
城は荘厳で、街並みは美しい。
だが歩いていると、
伝統と権威が、ここでは今も確かな重さを持っているとわかる。
(アルヴァリア画像)
この国では、異種族が競技や労働の場に立つこと自体は珍しくない。
ただし、どの立場に立てるかは、はっきりと決まっているらしい。
フボヤマのような例は、やはり特別なのだと、現地の人は口を揃えて言った。
この国の大多数は人間で、人間以外の異種族では、エルフや獣人、ドワーフ系が多いのだという。
石畳でも歩けるように、
黒のレザー・ローファーを履いてきた。少し厚底のものだ。
早速、有名なお城の前まで来てみたが、
その佇まいは、写真で見ていた以上に重々しかった。
I「城の前で現地の人に写真を撮ってもらったよ。(美咲としろを入れて描いてみて)」
I「良いね、このまま城に向かおう。この城はなんという名前なんだろう?近くまで行ってみたら、兵士とかいるのかな?考えてみて。文章でお願い」
A「いい流れだね。
じゃあ、このまま観光の延長で城に近づいていく文章として書くよ。説明しすぎず、「見えてきたこと」「感じたこと」中心で。
城はグラン=エルディア城と呼ばれているらしい。
アルヴァリア王国の中枢にあたる場所で、王城であり、同時にこの国の象徴でもある。
遠くから見たときは、ただ大きくて立派な城、という印象だった。
けれど近づくにつれて、その大きさよりも、秩序のほうが目につくようになる。
石畳はここだけやけに整っていて、
人の流れも、自然と城を避けるように左右に分かれている。
立ち止まって写真を撮る人は多いけれど、
城門の正面で長居する者はいない。
門の脇には、数人の兵士が立っていた。
重そうな金属の鎧ではなく、
動きやすさを優先した装備で、色合いも抑えめだ。
威圧するというより、「ここから先は違う場所だ」と
静かに線を引いているように見える。
剣を持っている者もいれば、
槍のような長物を支えている者もいる。
誰も声を荒げたりはしないが、
視線だけは確かで、城の周囲を常に把握している。
異種族の兵士はいないようだった。
少なくとも、門の近くに立っているのは全員、人間に見える。
さっき聞いた話が、ここで少しだけ形を持った気がした。
私は観光客として、
「近くまで来てみた」だけの立場だ。
それは兵士たちにも伝わっているらしく、
特に声をかけられることはない。
ただ、城門の影に一歩近づいた瞬間、
背筋がわずかに伸びるのを感じた。
この城は、見せるための建物じゃない。
守るために、そして序列を保つために、
ここに立っているのだと。
――そんなことを考えながら、
私はもう少しだけ、城の周りを歩いてみることにした。
I「良いね、美咲が兵士たちをスナップした画像を描いて」
I「良いね、城の裏手や側道で見かける人たちにいこう。まずは文章で書いてみて。異種族はいるのかな?」
A「了解。
じゃあ、**城の正面を離れて、裏手と側道に回ったときの“空気の変化”**から書くね。異種族は「いる」。ただし、立ち位置がはっきり見える形で。」
城門の正面を離れて、裏手に回ると、空気が少しだけ緩んだ。
観光客の足音も減って、石畳の響きが近くなる。
建物の陰に入ると、城は相変わらず視界にあるのに、
さっきまで感じていた緊張だけが、すっと後ろに下がる。
正面が「見せる場所」だとしたら、
こちらは「使われている場所」なのだと、自然にわかった。
側道では、人が働いていた。
荷を積んだ小さな荷車を押す者、
壁際で道具を整えている者、
城へ出入りする扉の前で、順番を待っている者。
その中に、異種族の姿もあった。
エルフと思しき人物は、耳を隠すでもなく、
落ち着いた様子で帳簿を確認していた。
背は高いが、服装は実用一点張りで、
どこか「目立たないこと」に慣れているように見える。
獣人は数が多い。
体格を活かした仕事を任されているのか、
荷運びや整備に関わっている者が目についた。
声を出すときも控えめで、
城のほうへ視線を向ける頻度が、人間より多い。
ドワーフ系と思われる小柄な人物は、
石材の補修をしていた。
動きは手慣れていて、作業そのものに不満はなさそうだ。
ただ、仕事が終わると、
城の敷地には長く留まらない。
兵士の姿は、ここでも見かける。
だが正面とは違い、数は少なく、
立ち位置も一歩引いている。
監視というより、
「問題が起きないように見ている」距離感だ。
誰も、何かを禁じられている様子はない。
けれど、どこまで近づいていいか、
どの道を使っていいかは、
全員が知っているようだった。
私はその中を、ただ歩いて通る。
カメラを下げたままでも、
咎められることはない。
ただ、異種族の何人かと目が合うと、
一瞬だけ、探るような間が生まれる。
それは警戒というより、
「この人は、どこまで踏み込むつもりだろう」という視線だった。
ここには異種族がいる。
確かに、普通に、当たり前のように。
でも――
この場所で「城に近い人間」ではない、
という線も、同じくらいはっきり存在していた。
I「異種族の一人と、短い会話が生まれる、いこう」
A「了解。
じゃあ、踏み込みすぎない、でも確実に何かが伝わる短い会話でいくね。」城の裏手で、石材の補修をしている人物に目が留まった。
小柄で、肩幅が広い。
ドワーフ系だろうと、すぐにわかる体つきだった。
壁の一部を丁寧に削り、
欠けた部分に新しい石を合わせている。
動きは無駄がなく、長い間ここで働いてきたのだと感じさせる。
邪魔にならない距離で立ち止まり、
私はカメラを構えた。
「写真、撮ってもいいですか?」
声をかけると、彼は一瞬だけ顔を上げた。
私と、カメラと、城の壁を順に見てから、
短くうなずく。
「構わん。ただし、手元は写すな」
理由を聞く前に、
彼はもう作業に戻っていた。
言われた通り、
顔と、城壁の一部だけをフレームに収める。
シャッターを切る音が、思ったより大きく響いた。
「……観光か?」
撮り終えたところで、彼がぽつりと言った。
「ええ。ただ歩いてるだけです」
嘘ではない。
取材でも、仕事でもない。
「そうか」
それだけ言って、
彼は石を削る手を止めない。
少し迷ってから、
私はもう一つだけ聞いてみる。
「ここで働くの、長いんですか?」
今度は、ほんの少しだけ間があった。
「城が今の形になってから、ずっとだ」
ずいぶん長い時間のはずなのに、
彼の口調には誇りも、不満も混ざっていない。
「城の中には?」
質問が余計だったかもしれない、と思った瞬間、
彼は顔を上げずに答えた。
「呼ばれたときだけだ」
それ以上は、何も言わない。
私は礼を言って、その場を離れた。
背中越しに聞こえる石を削る音は、
さっきと何も変わらない。
振り返ると、
城の壁は相変わらず、完璧な形を保っていた。
誰がそれを支えているのかは、
正面から見ているだけでは、わからないまま。
I「良いね、一旦美咲が撮影させてもらったドワーフの写真いこう」
I「良いね、次に美咲はどうする?誰かに話しかける?それとも先に進む?文章でかいてみて」
A「いいところだね。
じゃあここは、すぐに次の誰かへ行かず、一拍置く美咲でいこう。写真を見てから、選ぶ、という流れ。」
撮った写真を、その場で一度だけ確認する。
画面の中で、ドワーフはさっきと同じ姿勢のまま、
石に向かっていた。
手元は写していない。
言われた通りだ。
それでも、壁に残る細かな傷や、
長い時間をかけて削られてきた石の表情は、はっきりと残っている。
悪くない、と思う。
スマホをしまって、周囲を見回す。
さっきまで気づかなかっただけで、
裏手の通路は意外と人の行き来がある。
急ぎ足の人間。
仕事を終えたらしい異種族。
それぞれが、城と一定の距離を保ちながら動いている。
誰かに、もう一度声をかけることもできる。
でも、今はそういう気分じゃなかった。
さっきの会話は、
あれ以上、踏み込まないからこそ意味があった気がする。
聞けなかったことより、
聞かずに済ませたことのほうが、頭に残っている。
私は、城に背を向けて、
側道の奥へと歩き出す。
正面とは違って、
こちらには案内板も、説明書きもない。
あるのは、使い込まれた扉と、
人が通るためにできた道だけだ。
少し進むと、
城を直接見る人は減り、
代わりに、城の影で暮らす人たちの気配が濃くなる。
ここなら、
誰かが話しかけてくるかもしれない。
あるいは、
こちらから声をかけずとも、
何かを見せられるかもしれない。
そう思いながら、
私は歩く速さを、ほんの少しだけ落とした。
I「良いね、そしたらくみあわせようよ。美咲が「気になるもの」を見つけて立ち止まる→向こうから声をかけられる(異種族)」
A「いいね、その組み合わせはとても自然。
じゃあ、視線が止まる → 立ち止まる → 声をかけられるを一本の流れで書くね。」側道をしばらく歩いていると、
壁際に、ひときわ古そうな掲示板があるのに気づいた。
木枠は歪み、
何度も貼り替えられた跡が残っている。
紙の種類もまちまちで、
新しいものと、色あせたものが混ざっていた。
近づいて見てみる。
城の修繕に関する告知。
資材の搬入時間。
臨時の立ち入り制限。
それから、求人らしき紙もある。
文字はすべて共通語だが、
書き手によって癖が違う。
几帳面な字もあれば、
急いで書いたような走り書きもある。
その中に、
一枚だけ、少し目を引く紙があった。
内容は短い。
城の裏手で行われる、
競技関連の雑務について。
詳細は口頭で説明、
とだけ書かれている。
――競技。
ここで、その言葉を見るとは思っていなかった。
思わず立ち止まって、
紙をもう一度読み返した、そのとき。
「それ、気になる?」
背後から、声がした。
振り返ると、
獣人の女性が立っていた。
耳は短く、
毛並みは落ち着いた色合い。
服装は実用的で、
荷を運ぶ仕事の途中らしい。
「ええ、少し」
そう答えると、
彼女は掲示板を一瞥して、
小さく肩をすくめた。
「まあ、そうだよね。
あれ、わかりにくいし」
「競技関係の仕事なんですか?」
私がそう聞くと、
彼女は一瞬だけ、
周囲を確認するように視線を動かした。
「関係はある。
でも、表に出る仕事じゃない」
言い方は淡々としている。
特別な秘密を語る、というほどではない。
ただ、軽くは扱えない話題、
という距離感だ。
「あなた、観光?」
「はい。写真を撮りながら、歩いてるだけです」
そう言うと、
彼女は納得したようにうなずいた。
「だったら、見るだけにしておいたほうがいいかも。
ここは、そういう場所だから」
「そういう場所?」
問い返すと、
彼女は少しだけ笑った。
「城の正面では見えないことが、
裏手には、だいたい集まる」
それ以上は説明しない。
でも、その一言で、
十分だった。
私は礼を言って、
もう一度掲示板を見る。
紙は、さっきと同じように貼られている。
何も変わっていない。
それでも、
見え方だけが、少し変わっていた。
I「良いね。その獣人と、少しだけ一緒に歩くエピソードをかいて。少し街を案内してもらいながら、その中で一緒に写真を撮ってもらう場面を入れよう。」
A「いいね、じゃあ歩く距離は短く、会話も多くしすぎない形でいくね。
案内は“説明”じゃなくて、“通り過ぎながら見えるもの”中心で。」獣人の女性は、私が掲示板から離れるのを見て、
少しだけ歩調を合わせてきた。
「この先、行くあては?」
「特には。
城の裏がどうなってるのか、
ちょっと見てみようかなって」
そう言うと、
彼女は「それなら」と短く答えて、
道の分かれ目で右を指した。
「正面に戻るなら左。
裏の街を通るなら、こっち」
選択肢は、あっさりしている。
私は迷わず、彼女の示したほうへ進んだ。
道は少し狭くなり、
建物の背が低くなる。
石造りは同じでも、
装飾は減って、実用的な造りに変わっていく。
「この辺りは、城で働く人が多いの?」
「そう。
人間もいるけど、
異種族のほうが多いかな」
歩きながら、
彼女は視線だけで周囲を示す。
倉庫の前で話している獣人。
路地で工具を運ぶドワーフ。
建物の二階から、
エルフが洗濯物を下ろしているのが見えた。
誰も、こちらをじろじろ見たりはしない。
けれど、視線が合うと、
軽くうなずく程度の反応は返ってくる。
「この辺、写真撮っても平気?」
私がそう聞くと、
彼女は少し考えてから答えた。
「人が写らなければ。
それと、仕事中は控えめに」
「ありがとう」
私は建物や道、
干された布や、積まれた木箱を中心に撮る。
観光地らしい派手さはないけれど、
生活の温度が残っている。
少し歩いた先で、
小さな広場のような場所に出た。
城の塔が、建物の隙間から見える。
「ここ、好きなんだ」
彼女が言った。
「正面より、城が遠く見えるから」
確かに、
威圧感は薄れて、
ただ大きな建物としてそこにある。
私は足を止めて、
その風景を撮った。
「……よかったら」
少し迷ってから、
彼女にカメラを差し出す。
「一緒に写ってもらえませんか?」
彼女は驚いたように目を瞬かせ、
それから、困ったように笑った。
「観光客だね」
「はい」
短く息を吐いてから、
彼女はうなずいた。
「一枚だけなら」
城が背景に入る位置を選んで、
私は彼女の隣に立つ。
距離は、自然に腕一本分。
「撮るよ」
シャッターの音が鳴る。
その瞬間、
彼女は作り笑いをしなかった。
ただ、少しだけ肩の力を抜いて、
普段通りの表情で立っている。
「……ありがとう」
カメラを返すと、
彼女は画面をのぞき込み、
小さくうなずいた。
「悪くない」
それだけ言って、
カメラを私に返す。
広場を抜けると、
また道が分かれる。
「私はここまで」
「案内、助かりました」
「どういたしまして。
……気をつけてね」
何に、とは言わない。
彼女はそのまま、
荷を抱えて別の道へ消えていった。
私は立ち止まって、
さっき撮った写真をもう一度見る。
城。
街。
そして、隣に立つ獣人の女性。
旅の途中で、
確かにここを歩いた証拠が、
一枚だけ、残っていた。
コメント
コメントを投稿