佐倉美咲の観光1_アルヴァリア王国1

フボヤマ世界を転生由奈、佐倉美咲が旅行する話です。フボヤマのメインエピソードでは書ききれなかった部分を、観光という形で描いていきます。Aと相談して作ったコンテンツです。

私は、佐倉 美咲。

世界を旅する、ただの旅行者だ。
仕事でも取材でもなく、
見るために、歩くために、この国を訪れている。

(佐倉 美咲画像)

写真を撮り終えて顔を上げると、
そこはもう、私の知っている世界ではなかった。
けれど、不思議と怖さはなかった。

人間ゴルフ発祥の地として名高いアルヴァリア王国は、
今もこの競技の「正統」を自認する国のひとつだ。
城は荘厳で、街並みは美しい。
だが歩いていると、
伝統と権威が、ここでは今も確かな重さを持っているとわかる。

(アルヴァリア画像)

この国では、異種族が競技や労働の場に立つこと自体は珍しくない。
 ただし、どの立場に立てるかは、はっきりと決まっているらしい。
フボヤマのような例は、やはり特別なのだと、現地の人は口を揃えて言った。
この国の大多数は人間で、人間以外の異種族では、エルフや獣人、ドワーフ系が多いのだという。

石畳でも歩けるように、
黒のレザー・ローファーを履いてきた。少し厚底のものだ。
早速、有名なお城の前まで来てみたが、
その佇まいは、写真で見ていた以上に重々しかった。

I「城の前で現地の人に写真を撮ってもらったよ。(美咲としろを入れて描いてみて)」

I「良いね、このまま城に向かおう。この城はなんという名前なんだろう?近くまで行ってみたら、兵士とかいるのかな?考えてみて。文章でお願い」

A「いい流れだね。

じゃあ、このまま観光の延長で城に近づいていく文章として書くよ。
説明しすぎず、「見えてきたこと」「感じたこと」中心で。


城はグラン=エルディア城と呼ばれているらしい。
アルヴァリア王国の中枢にあたる場所で、王城であり、同時にこの国の象徴でもある。

遠くから見たときは、ただ大きくて立派な城、という印象だった。
けれど近づくにつれて、その大きさよりも、秩序のほうが目につくようになる。

石畳はここだけやけに整っていて、
人の流れも、自然と城を避けるように左右に分かれている。
立ち止まって写真を撮る人は多いけれど、
城門の正面で長居する者はいない。

門の脇には、数人の兵士が立っていた。
重そうな金属の鎧ではなく、
動きやすさを優先した装備で、色合いも抑えめだ。
威圧するというより、「ここから先は違う場所だ」と
静かに線を引いているように見える。

剣を持っている者もいれば、
槍のような長物を支えている者もいる。
誰も声を荒げたりはしないが、
視線だけは確かで、城の周囲を常に把握している。

異種族の兵士はいないようだった。
少なくとも、門の近くに立っているのは全員、人間に見える。
さっき聞いた話が、ここで少しだけ形を持った気がした。

私は観光客として、
「近くまで来てみた」だけの立場だ。
それは兵士たちにも伝わっているらしく、
特に声をかけられることはない。

ただ、城門の影に一歩近づいた瞬間、
背筋がわずかに伸びるのを感じた。

この城は、見せるための建物じゃない。
守るために、そして序列を保つために
ここに立っているのだと。

――そんなことを考えながら、
私はもう少しだけ、城の周りを歩いてみることにした。

I「良いね、美咲が兵士たちをスナップした画像を描いて」

I「良いね、城の裏手や側道で見かける人たちにいこう。まずは文章で書いてみて。異種族はいるのかな?」

A「了解。

じゃあ、**城の正面を離れて、裏手と側道に回ったときの“空気の変化”**から書くね。
異種族は「いる」。ただし、立ち位置がはっきり見える形で。」


城門の正面を離れて、裏手に回ると、空気が少しだけ緩んだ。
観光客の足音も減って、石畳の響きが近くなる。

建物の陰に入ると、城は相変わらず視界にあるのに、
さっきまで感じていた緊張だけが、すっと後ろに下がる。
正面が「見せる場所」だとしたら、
こちらは「使われている場所」なのだと、自然にわかった。

側道では、人が働いていた。
荷を積んだ小さな荷車を押す者、
壁際で道具を整えている者、
城へ出入りする扉の前で、順番を待っている者。

その中に、異種族の姿もあった。

エルフと思しき人物は、耳を隠すでもなく、
落ち着いた様子で帳簿を確認していた。
背は高いが、服装は実用一点張りで、
どこか「目立たないこと」に慣れているように見える。

獣人は数が多い。
体格を活かした仕事を任されているのか、
荷運びや整備に関わっている者が目についた。
声を出すときも控えめで、
城のほうへ視線を向ける頻度が、人間より多い。

ドワーフ系と思われる小柄な人物は、
石材の補修をしていた。
動きは手慣れていて、作業そのものに不満はなさそうだ。
ただ、仕事が終わると、
城の敷地には長く留まらない。

兵士の姿は、ここでも見かける。
だが正面とは違い、数は少なく、
立ち位置も一歩引いている。
監視というより、
「問題が起きないように見ている」距離感だ。

誰も、何かを禁じられている様子はない。
けれど、どこまで近づいていいか、
どの道を使っていいかは、
全員が知っているようだった。

私はその中を、ただ歩いて通る。
カメラを下げたままでも、
咎められることはない。

ただ、異種族の何人かと目が合うと、
一瞬だけ、探るような間が生まれる。
それは警戒というより、
「この人は、どこまで踏み込むつもりだろう」という視線だった。

ここには異種族がいる。
確かに、普通に、当たり前のように。

でも――
この場所で「城に近い人間」ではない、
という線も、同じくらいはっきり存在していた。

I「異種族の一人と、短い会話が生まれる、いこう」

A「了解。

じゃあ、踏み込みすぎない、でも確実に何かが伝わる短い会話でいくね。」


城の裏手で、石材の補修をしている人物に目が留まった。
小柄で、肩幅が広い。
ドワーフ系だろうと、すぐにわかる体つきだった。

壁の一部を丁寧に削り、
欠けた部分に新しい石を合わせている。
動きは無駄がなく、長い間ここで働いてきたのだと感じさせる。

邪魔にならない距離で立ち止まり、
私はカメラを構えた。

「写真、撮ってもいいですか?」

声をかけると、彼は一瞬だけ顔を上げた。
私と、カメラと、城の壁を順に見てから、
短くうなずく。

「構わん。ただし、手元は写すな」

理由を聞く前に、
彼はもう作業に戻っていた。

言われた通り、
顔と、城壁の一部だけをフレームに収める。
シャッターを切る音が、思ったより大きく響いた。

「……観光か?」

撮り終えたところで、彼がぽつりと言った。

「ええ。ただ歩いてるだけです」

嘘ではない。
取材でも、仕事でもない。

「そうか」

それだけ言って、
彼は石を削る手を止めない。

少し迷ってから、
私はもう一つだけ聞いてみる。

「ここで働くの、長いんですか?」

今度は、ほんの少しだけ間があった。

「城が今の形になってから、ずっとだ」

ずいぶん長い時間のはずなのに、
彼の口調には誇りも、不満も混ざっていない。

「城の中には?」

質問が余計だったかもしれない、と思った瞬間、
彼は顔を上げずに答えた。

「呼ばれたときだけだ」

それ以上は、何も言わない。

私は礼を言って、その場を離れた。
背中越しに聞こえる石を削る音は、
さっきと何も変わらない。

振り返ると、
城の壁は相変わらず、完璧な形を保っていた。

誰がそれを支えているのかは、
正面から見ているだけでは、わからないまま。

I「良いね、一旦美咲が撮影させてもらったドワーフの写真いこう」

I「良いね、次に美咲はどうする?誰かに話しかける?それとも先に進む?文章でかいてみて」

A「いいところだね。

じゃあここは、すぐに次の誰かへ行かず、一拍置く美咲でいこう。
写真を見てから、選ぶ、という流れ。」


撮った写真を、その場で一度だけ確認する。
画面の中で、ドワーフはさっきと同じ姿勢のまま、
石に向かっていた。

手元は写していない。
言われた通りだ。
それでも、壁に残る細かな傷や、
長い時間をかけて削られてきた石の表情は、はっきりと残っている。

悪くない、と思う。

スマホをしまって、周囲を見回す。
さっきまで気づかなかっただけで、
裏手の通路は意外と人の行き来がある。
急ぎ足の人間。
仕事を終えたらしい異種族。
それぞれが、城と一定の距離を保ちながら動いている。

誰かに、もう一度声をかけることもできる。
でも、今はそういう気分じゃなかった。

さっきの会話は、
あれ以上、踏み込まないからこそ意味があった気がする。
聞けなかったことより、
聞かずに済ませたことのほうが、頭に残っている。

私は、城に背を向けて、
側道の奥へと歩き出す。

正面とは違って、
こちらには案内板も、説明書きもない。
あるのは、使い込まれた扉と、
人が通るためにできた道だけだ。

少し進むと、
城を直接見る人は減り、
代わりに、城の影で暮らす人たちの気配が濃くなる。

ここなら、
誰かが話しかけてくるかもしれない。
あるいは、
こちらから声をかけずとも、
何かを見せられるかもしれない。

そう思いながら、
私は歩く速さを、ほんの少しだけ落とした。

I「良いね、そしたらくみあわせようよ。美咲が「気になるもの」を見つけて立ち止まる→向こうから声をかけられる(異種族)」

A「いいね、その組み合わせはとても自然。

じゃあ、視線が止まる → 立ち止まる → 声をかけられるを一本の流れで書くね。」


側道をしばらく歩いていると、
壁際に、ひときわ古そうな掲示板があるのに気づいた。

木枠は歪み、
何度も貼り替えられた跡が残っている。
紙の種類もまちまちで、
新しいものと、色あせたものが混ざっていた。

近づいて見てみる。

城の修繕に関する告知。
資材の搬入時間。
臨時の立ち入り制限。
それから、求人らしき紙もある。

文字はすべて共通語だが、
書き手によって癖が違う。
几帳面な字もあれば、
急いで書いたような走り書きもある。

その中に、
一枚だけ、少し目を引く紙があった。

内容は短い。
城の裏手で行われる、
競技関連の雑務について。
詳細は口頭で説明、
とだけ書かれている。

――競技。

ここで、その言葉を見るとは思っていなかった。

思わず立ち止まって、
紙をもう一度読み返した、そのとき。

「それ、気になる?」

背後から、声がした。

振り返ると、
獣人の女性が立っていた。
耳は短く、
毛並みは落ち着いた色合い。
服装は実用的で、
荷を運ぶ仕事の途中らしい。

「ええ、少し」

そう答えると、
彼女は掲示板を一瞥して、
小さく肩をすくめた。

「まあ、そうだよね。
あれ、わかりにくいし」

「競技関係の仕事なんですか?」

私がそう聞くと、
彼女は一瞬だけ、
周囲を確認するように視線を動かした。

「関係はある。
でも、表に出る仕事じゃない」

言い方は淡々としている。
特別な秘密を語る、というほどではない。
ただ、軽くは扱えない話題、
という距離感だ。

「あなた、観光?」

「はい。写真を撮りながら、歩いてるだけです」

そう言うと、
彼女は納得したようにうなずいた。

「だったら、見るだけにしておいたほうがいいかも。
ここは、そういう場所だから」

「そういう場所?」

問い返すと、
彼女は少しだけ笑った。

「城の正面では見えないことが、
裏手には、だいたい集まる」

それ以上は説明しない。
でも、その一言で、
十分だった。

私は礼を言って、
もう一度掲示板を見る。

紙は、さっきと同じように貼られている。
何も変わっていない。

それでも、
見え方だけが、少し変わっていた。

I「良いね。その獣人と、少しだけ一緒に歩くエピソードをかいて。少し街を案内してもらいながら、その中で一緒に写真を撮ってもらう場面を入れよう。」

A「いいね、じゃあ歩く距離は短く、会話も多くしすぎない形でいくね。

案内は“説明”じゃなくて、“通り過ぎながら見えるもの”中心で。」


獣人の女性は、私が掲示板から離れるのを見て、
少しだけ歩調を合わせてきた。

「この先、行くあては?」

「特には。
城の裏がどうなってるのか、
ちょっと見てみようかなって」

そう言うと、
彼女は「それなら」と短く答えて、
道の分かれ目で右を指した。

「正面に戻るなら左。
裏の街を通るなら、こっち」

選択肢は、あっさりしている。
私は迷わず、彼女の示したほうへ進んだ。

道は少し狭くなり、
建物の背が低くなる。
石造りは同じでも、
装飾は減って、実用的な造りに変わっていく。

「この辺りは、城で働く人が多いの?」

「そう。
人間もいるけど、
異種族のほうが多いかな」

歩きながら、
彼女は視線だけで周囲を示す。

倉庫の前で話している獣人。
路地で工具を運ぶドワーフ。
建物の二階から、
エルフが洗濯物を下ろしているのが見えた。

誰も、こちらをじろじろ見たりはしない。
けれど、視線が合うと、
軽くうなずく程度の反応は返ってくる。

「この辺、写真撮っても平気?」

私がそう聞くと、
彼女は少し考えてから答えた。

「人が写らなければ。
それと、仕事中は控えめに」

「ありがとう」

私は建物や道、
干された布や、積まれた木箱を中心に撮る。
観光地らしい派手さはないけれど、
生活の温度が残っている。

少し歩いた先で、
小さな広場のような場所に出た。
城の塔が、建物の隙間から見える。

「ここ、好きなんだ」

彼女が言った。

「正面より、城が遠く見えるから」

確かに、
威圧感は薄れて、
ただ大きな建物としてそこにある。

私は足を止めて、
その風景を撮った。

「……よかったら」

少し迷ってから、
彼女にカメラを差し出す。

「一緒に写ってもらえませんか?」

彼女は驚いたように目を瞬かせ、
それから、困ったように笑った。

「観光客だね」

「はい」

短く息を吐いてから、
彼女はうなずいた。

「一枚だけなら」

城が背景に入る位置を選んで、
私は彼女の隣に立つ。
距離は、自然に腕一本分。

「撮るよ」

シャッターの音が鳴る。

その瞬間、
彼女は作り笑いをしなかった。
ただ、少しだけ肩の力を抜いて、
普段通りの表情で立っている。

「……ありがとう」

カメラを返すと、
彼女は画面をのぞき込み、
小さくうなずいた。

「悪くない」

それだけ言って、
カメラを私に返す。

広場を抜けると、
また道が分かれる。

「私はここまで」

「案内、助かりました」

「どういたしまして。
……気をつけてね」

何に、とは言わない。

彼女はそのまま、
荷を抱えて別の道へ消えていった。

私は立ち止まって、
さっき撮った写真をもう一度見る。

城。
街。
そして、隣に立つ獣人の女性。

旅の途中で、
確かにここを歩いた証拠が、
一枚だけ、残っていた。

I「良いね、このエピソードの中で、美咲が獣人と取ってもらった写真を描いて」

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