フボヤマさん編_メイキング8_エピソード20、アグナス杯に臨む選手たち
フボヤマさんのいる世界をさらに膨らませていきましょう。前回は、アグナス杯前の会見と、三強の一人、ゼファルを深堀りしました。今回は、キャラ同士を絡ませてキャラを動かして、キャラクターをAに作ってもらいます。大会前の余韻という感じです。前回:ゼファル・アズラグリム
I「これまでの流れを踏まえてアズラ=ヴァルの街並みを描いて」
I「セリオスとルシウスの会話をつくって。エルフという共通点があるし。」
A
「了解。
では――アグナス杯・会見後。
石造ホールの裏手、風が回り込まないテラス。
高地の夕暮れ、空は薄く紫がかっている。
エルフ同士、
芝を読む者と理を立つ者の会話だ。」
アグナス杯・会見後
セリオスとルシウス
セリオスは、欄干に手を置き、
遠くのフェアウェイを見ている。
ルシウスが、隣に立つ。
ルシウス
「……久しいな。」
セリオス
「久しい、で済むならいいが。」
(微かに笑う)
セリオス
「ここに立つと、
時間の流れが違う。」
ルシウス
「感じる。」
(芝を見下ろす)
ルシウス
「この芝は、
私の問いに答えない。」
セリオス
「答えを欲しがる者ほど、
この地では迷う。」
風が低く、横に流れる。
旗はほとんど動かない。
ルシウス
「君は、
ここに“慣れている”。」
セリオス
「慣れた、のではない。」
セリオス
「最初から、
疑っていない。」
ルシウス
「疑わない?」
セリオス
「芝も、風も、
自分の感覚も。」
ルシウスは、少しだけ目を伏せる。
ルシウス
「私は、
疑うことで精度を上げてきた。」
セリオス
「それは、
平地では強い。」
一拍。
セリオス
「だが、
ここでは――」
セリオス
「疑いは、
酸素を奪う。」
ルシウスは、
息を整えるように一度だけ呼吸する。
ルシウス
「……確かに、
思考が重くなる。」
セリオス
「エルフは、
本来“軽い”種だ。」
セリオス
「軽さを保てなければ、
ここでは沈む。」
ルシウス
「それでも、
私は読む。」
セリオスは、否定しない。
セリオス
「読むのはいい。」
セリオス
「だが、
最後は捨てろ。」
ルシウス
「捨てる?」
セリオス
「読み切れないものを、だ。」
遠く、誰かのドライバー音。
低く、乾いた音。
ルシウス
「ゼファルは、
読む必要がない。」
セリオス
「彼は、
この地の延長だ。」
セリオス
「我々とは、
立っている“層”が違う。」
ルシウス
「それでも、
同じ競技だ。」
セリオスは、
一瞬だけルシウスを見る。
セリオス
「そうだ。」
セリオス
「だからこそ、
我々も立てる。」
ルシウス
「去年、
私は5位だった。」
セリオス
「覚えている。」
セリオス
「君は、
“美しく迷っていた”。」
ルシウスは、
小さく息を吐く。
ルシウス
「今年は、
迷うことを
前提に来た。」
セリオス
「それなら――」
セリオスは、
フェアウェイの縁を見る。
セリオス
「君は、
去年より深く残る。」
ルシウス
「勝てると思うか?」
セリオスは、即答しない。
セリオス
「勝ちたいなら、
ここを敵にするな。」
セリオス
「同じ場所に立て。」
ルシウス
「……エルフらしい助言だ。」
セリオスは、
かすかに微笑む。
セリオス
「我々は、
“読む”前に
“在る”種だ。」
風が、再び低く流れる。
二人の間を、音もなく。
ルシウス
「ありがとう。」
セリオス
「礼は要らん。」
セリオス
「君がここに立つこと自体が、
この地への敬意だ。」
二人は並んで、
黙ってコースを見つめる。
芝は語らない。
風も答えない。だが、
エルフはそれでも立つ。
アグナス杯は、
静かに彼らを試していた。
I「トルガンとバルド、ハルヴァルの会話をつくって。広いくくりでは獣人ということでつながりがありそうだ。」
A
「了解。
では――アグナス杯・会見後の夕刻。
クラブハウス裏手、風を正面から受ける岩場のテラス。
低くうなる風の中、獣人という大きな括りで繋がる三者の会話だ。」
アグナス杯・会見後
トルガン/バルド/ハルヴァル
風が、地表を削るように流れている。
三人はあえて、風除けのない場所に立っていた。
トルガン(山岳獣人・熊狼系)
「……いい匂いだ。」
ハルヴァル(狼系獣人)
「乾いてる。
血が、少し速くなる。」
バルド(牛系獣人)
「ふん。
匂いでゴルフができるなら、
楽なものだ。」
ハルヴァルが、鼻を鳴らす。
ハルヴァル
「できるさ。
少なくとも――
危ない場所は分かる。」
トルガンは、岩に腰を下ろす。
トルガン
「人間は、
“見てから判断する”。」
トルガン
「だが、
ここじゃ遅い。」
バルド
「……分かってる。」
バルド
「だがな。」
バルドは、強く地面を踏む。
低い音が返る。
バルド
「この地は、
重い。」
ハルヴァル
「お前には、な。」
バルドは睨むが、怒らない。
バルド
「否定しない。」
バルド
「俺は、
平地で力を出す獣だ。」
トルガンが、短く笑う。
トルガン
「正直でいい。」
風が強まる。
三人とも、自然に重心を落とす。
ハルヴァル
「ゼファルが戻った。」
一瞬、沈黙。
バルド
「……戻る、
というより。」
トルガン
「“居た”んだ。」
ハルヴァル
「俺たちは、
挑む側だな。」
バルド
「フボヤマは?」
トルガン
「強い。」
ハルヴァル
「だが、
ここでは匂いが違う。」
バルド
「ルシウスは?」
ハルヴァル
「頭が良すぎる。」
トルガンが頷く。
トルガン
「考えすぎると、
この風は噛みつく。」
バルド
「……人間は、
もっと苦しいな。」
ハルヴァル
「試される。」
トルガン
「削られる。」
バルド
「それでも、
来る。」
トルガンは、遠くの山影を見る。
トルガン
「それが、
この大会だ。」
しばらく、三人とも黙る。
風だけが話す。
ハルヴァル
「俺はな。」
バルド
「何だ。」
ハルヴァル
「ここで、
一番静かな獣が勝つと思ってる。」
トルガンが、低く唸るように笑う。
トルガン
「いい読みだ。」
バルド
「……静か、か。」
バルドは、
自分の手を見る。
大きく、分厚い。
バルド
「俺は、
静かじゃない。」
ハルヴァル
「だから、
難しい。」
トルガン
「だがな。」
トルガンは立ち上がる。
風に逆らわず、身を向ける。
トルガン
「獣は、
場所を選ぶ。」
トルガン
「ここで噛めないなら、
別の地で噛めばいい。」
バルドは、鼻から息を吐く。
バルド
「……それができれば、
苦労はしない。」
ハルヴァル
「苦労するから、
面白い。」
三人は、
それぞれ違う方向を見る。
広い意味では、
同じ“獣”。だが、
この高天の地では、
噛み合い方が違う。
トルガン
「始まるな。」
バルド
「ああ。」
ハルヴァル
「匂いが、
濃くなってきた。」
風が、
一段強く唸る。
アグナス杯は、
獣たちにとっても――
**“本能を試す場”**だった。
I「バル=モルドゥンとフボヤマの会話シーンをつくって。昨年はバル=モルドゥンが順位が上だしね。」
A
「いいね。
では――アグナス杯・会見後、日が傾き始めた時間。
岩と芝の境界、人工物と自然の境目に二人は立っている。
勝った者と、挑む者。
だが空気に敵意はない。」
アグナス杯・会見後
バル=モルドゥン と フボヤマ
低い風が、地面を削るように流れている。
フボヤマは帽子を押さえ、バル=モルドゥンは微動だにしない。
バル=モルドゥン(ゴーレム)
「……去年より、
軽くなったな。」
フボヤマ
「そう見えますか。」
バル=モルドゥン
「身体ではない。」
バル=モルドゥン
「立ち方だ。」
フボヤマは、足元の芝を見る。
フボヤマ
「去年は、
“勝ちに来て”ました。」
バル=モルドゥン
「だから、
重かった。」
短い沈黙。
風が二人の間を通り抜ける。
フボヤマ
「……正直に言うと。」
バル=モルドゥン
「言え。」
フボヤマ
「去年、
あなたに負けて、
少し救われました。」
バル=モルドゥンは、
ゆっくりと首を傾ける。
バル=モルドゥン
「ほう。」
フボヤマ
「もし勝っていたら、
この場所を
誤解したまま
帰っていたと思います。」
バル=モルドゥン
「誤解?」
フボヤマ
「“克服すべき条件”だと。」
バル=モルドゥンの低い声が響く。
バル=モルドゥン
「この地は、
克服されるために
在るのではない。」
フボヤマ
「ええ。」
フボヤマは顔を上げる。
フボヤマ
「共存する場所ですね。」
バル=モルドゥンは、
初めて微かに笑う。
岩が動くような笑み。
バル=モルドゥン
「理解したか。」
フボヤマ
「まだ、
途中です。」
バル=モルドゥン
「それでいい。」
風が強まる。
フボヤマは一歩踏み直す。
バル=モルドゥン
「去年、
私が勝った理由を
知っているか。」
フボヤマ
「……
“耐えた”から?」
バル=モルドゥン
「違う。」
バル=モルドゥン
「変えなかった。」
フボヤマ
「変えなかった?」
バル=モルドゥン
「打ち方も、
判断も、
自分も。」
しばし沈黙。
フボヤマ
「それは……
難しいですね。」
バル=モルドゥン
「お前は、
強すぎる。」
フボヤマ
「……。」
バル=モルドゥン
「強い者ほど、
“合わせに行く”。」
フボヤマ
「……
今年は?」
バル=モルドゥン
「今年は――」
バル=モルドゥンは、
遠くのフェアウェイを見る。
バル=モルドゥン
「試されるのは、
私の方だ。」
フボヤマは、
深く頭を下げる。
フボヤマ
「ありがとうございます。」
バル=モルドゥン
「礼はいらん。」
バル=モルドゥン
「この地で、
また会おう。」
フボヤマ
「ええ。」
二人は、
それぞれ違う方向へ歩き出す。
去年、
バル=モルドゥンは勝った。だがそれは、
フボヤマを退けた勝利ではない。この地に立つ資格を、
一度与えただけだった。
アグナス杯は、
まだ始まっていない。
I「さあ、朝霧ふくむ日本列島国の人たちはどうだろう?三浦、神崎、橘の同郷でどんな会話をするのだろう?」
A
「いいね。
では――アグナス杯・会見後、日本列島国勢の控えエリア。
石造建築の影、風を避けられるが空気は薄い。
同じ国から来た者同士、だが立場も心境も少しずつ違う会話だ。」
アグナス杯・会見後
朝霧/三浦/神崎/橘
簡易ベンチに腰掛け、
三浦が深く息を吐く。
三浦 恒一
「……正直に言っていいか。」
橘 恒一郎
「どうぞ。」
三浦
「ここ、
思ったより“来る”。」
神崎 遼
(苦笑しながら)
「来ないって言ったら、
嘘になるな。」
朝霧 恒一
「……でも。」
三人が朝霧を見る。
朝霧
「“無理”ではない。」
橘
「朝霧さんらしい。」
風が、壁を回り込んで低く鳴る。
神崎
「去年までなら、
この大会、
人間は“参加するだけ”って
言われてましたよね。」
三浦
「ああ。」
三浦
「でも、
最近は違う。」
橘
「違う理由、
分かってます?」
神崎
「……
フボヤマさん、
ルシウスさん、
朝霧さん。」
一瞬、沈黙。
朝霧
「……
俺一人じゃない。」
三浦
「でもさ。」
三浦は、遠くの山影を見る。
三浦
「ここは、
それでも“別格”だ。」
神崎
「空気、風、芝。」
橘
「判断が
一拍遅れる。」
朝霧
「だから、
“先を見ない”。」
三人が顔を上げる。
朝霧
「ここでは、
次の一打を考えない。」
朝霧
「今の一打だけ。」
神崎
「……
シンプルですね。」
朝霧
「複雑にすると、
負ける。」
三浦
「……
正直、
結果は怖い。」
橘
「分かります。」
神崎
「俺も。」
朝霧
「怖くていい。」
三人が、朝霧を見る。
朝霧
「でも――」
朝霧
「恥ずかしい打ち方は、
しない。」
風が、
一段強く吹く。
橘
「……
それ、
大事ですね。」
三浦
「負けても、
納得できる。」
神崎
「勝てたら、
もっといい。」
朝霧は、
小さく笑う。
朝霧
「欲張るな。」
神崎
「はは……
耳が痛い。」
三浦
「……なぁ、朝霧さん。」
朝霧
「何だ。」
三浦
「この大会、
人間が勝つ日は来ますか?」
少し、間。
朝霧
「来る。」
橘
「断言しますね。」
朝霧
「ただし。」
三人が身を乗り出す。
朝霧
「この大会を
“人間の大会”に
しようとしない人間が、
勝つ。」
神崎
「……
なるほど。」
三浦
「合わせすぎるな、
ってことか。」
朝霧
「そう。」
風が止む。
一瞬だけ、静寂。
橘
「……
行きましょうか。」
神崎
「ですね。」
三浦
「やるだけ、
やりましょう。」
朝霧は立ち上がり、
一人ひとりを見る。
朝霧
「大丈夫だ。」
朝霧
「日本列島国は、
ここに来るだけの国じゃない。」
四人は、
静かに歩き出す。
彼らは、
世界を驚かせるつもりはない。ただ、
自分たちのゴルフを
持ち帰るために、
この地に立つ。
アグナス杯は、
人間にも――
容赦なく、だが平等だった。
I「カグラ・リュウエンは自国の報道陣に意気込みを語って。取材されてる感じで。」
A
「いいね。
では――大会前日、アグナス杯会場のミックスゾーン。
高地の冷たい風の中、日本列島国の報道陣に囲まれる
ドラゴニアンの若手強豪、カグラ・リュウエンの場面だ。」
アグナス杯・大会前
カグラ・リュウエン 霧海皇国向け取材
簡易バリケードの向こうに、
「霧海皇国」と書かれた腕章をつけた記者たち。
カグラは帽子を外し、軽く一礼する。
その動きだけで、鱗がわずかに軋む。
記者A
「カグラ選手、
初のアグナス杯出場ですね。
今の率直な気持ちは?」
カグラ・リュウエン
「……正直に言うなら。」
少し考えてから、まっすぐ前を見る。
カグラ
「楽しいです。」
記者たちが、少し驚く。
記者B
「楽しい、ですか?」
カグラ
「ええ。」
カグラ
「この空気、この風、この芝。
全部が、
“ごまかしを許さない”。」
記者A
「高地と強風は、
人間選手に不利だと言われていますが、
ドラゴニアンとしては?」
カグラ
「有利とも、不利とも思っていません。」
カグラ
「ただ――」
一瞬、言葉を切る。
カグラ
「ここでは、
力を隠せない。」
記者Bが、メモを走らせる。
記者B
「世界トップのフボヤマ選手、
ルシウス選手、
そして地元のゼファル選手が本命です。
そこに挑む立場としては?」
カグラ
「挑む、というより。」
カグラ
「並びたい。」
記者A
「並びたい?」
カグラ
「同じ条件で、
同じ場所に立って、
同じ一打を打つ。」
カグラ
「それで負けたら、
納得できます。」
記者C
「霧海皇国では、
“ドラゴニアンの希望”
という声もありますが?」
カグラは、少しだけ苦笑する。
カグラ
「希望、ですか。」
カグラ
「……
自分は、
自分のゴルフを
説明したいだけです。」
記者A
「どんなゴルフを?」
カグラ
「炎みたいだと
言われますけど。」
肩をすくめる。
カグラ
「本当は、
燃やすより、
残したい。」
記者B
「残したい?」
カグラ
「霧海皇国の選手が、
ここに“居られる”
という事実を。」
少し間が空く。
風が強く吹き、
カグラのマントが揺れる。
記者C
「最後に、
大会への意気込みを。」
カグラは、
一度深く息を吸う。
高地の空気を、確かめるように。
カグラ
「勝ちたい、とは言いません。」
記者たちが顔を上げる。
カグラ
「でも――」
カグラ
「消えないプレーをします。」
カグラ
「この大会で、
“通用しなかった”
では終わらない。」
一礼。
カグラ
「それが、
自分なりの覚悟です。」
フラッシュが一斉に焚かれる。
だが、カグラはもう視線をコースの方へ向けていた。
高天の地で、
炎は燃え上がるとは限らない。だが――
消えずに残る炎もある。
アグナス杯は、
また一つ、
新しい物語を迎えようとしていた。
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