フボヤマさん編_メイキング8_エピソード42、ノアの決断
フボヤマさんのいる世界をさらに膨らませていきましょう。少し前に、フボヤマ世界の四大大会の2つ目のアグナス杯が決着となりました。ここでは、次の四大大会を開催する国アトラスと、その関連のエピソードです。前回:次の時代の象徴
I「ノヴァ=ヘリオスの一等地に建つ世界的大企業ATLAS FORGEの本社ビルを描いて。ビルにはATLAS FORGEのロゴを描いて。」
I「ノアにとっては、この点はルシウスがすごく参考になる例なんじゃないかな。実質ルシウスは国を背負わされている立場で、自国の伝統を守るものであり続けている一方で、ツールとしてアトラスのテクノロジーを使ってるわけだ。ただし、ノアは人間でルシウスは異種族ということで、ルシウスには人間ゴルフをやる理由がない。ただあり方は参考になるかもね。」
A
うん、ノアにとって**ルシウスは「答えそのもの」ではないけれど、「姿勢としてのヒント」**なんだと思う。
ノアが見るルシウスという存在
ノアは、ルシウスをこう理解している。
-
ルシウスは
国を背負っている -
伝統を守る側に立ち
王国の象徴として振る舞っている -
それでいて
アトラスのテクノロジーを拒絶していない
この三つが、同時に成立している。
それが、ノアには衝撃だった。
「国を背負う」とは、縛られることではない
ノアがこれまで見てきた「国を背負う選手」は、
たいていの場合、
- 伝統に縛られ
- 新しいものを拒み
- 外に出ることを「裏切り」と見なされる
そんな存在だった。
けれどルシウスは違う。
彼は、
国を背負うからこそ、勝たなければならない
勝つためなら、使えるものはすべて使う
という立ち方をしている。
それを誰にも隠さない。
ノアが気づいた決定的な違い
ただし、ノアは同時に理解している。
「ルシウスは、人間ゴルフをやる理由がない」
エルフであるルシウスにとって、
人間だけのレギュレーションは「守るべき故郷」ではない。
彼の故郷は、
シルヴァエルドの森であり、迷いの森であり、WGTそのものだ。
ノアはそこが、
自分とルシウスの決定的な違いだとわかっている。
それでも、参考になる「あり方」
それでもノアは思う。
「やり方じゃなくて、
あり方なら、真似できるかもしれない」
ルシウスは、
- 国の伝統を守る
- 国の期待を受け止める
- しかし、国のために“勝てない選択”はしない
このバランスを、
一切ブレずに貫いている。
そこに、迷いはない。
ノアの中で芽生える仮説
ノアの中で、ひとつの考えが形になりはじめる。
「もしかしたら――
人間ゴルフを守ることと、
アトラスの力を使うことは、
対立じゃないのかもしれない」
アルヴァリアの誇りを捨てる必要はない。
だが、
勝てない理由に誇りを使ってはいけない。
ルシウスは、それを体現している。
ノアがまだ答えを出せない理由
それでも、ノアはすぐには動けない。
なぜなら――
ルシウスは、勝っているからだ。
勝っている者は、
「正しさ」を証明できる。
ノアは、まだそこにいない。
「勝ってから、選ぶ」
「選んでから、勝つ」
どちらが正しいのか、
ノアはまだ決められない。
ノアという存在の重さ
ノアは、
ルシウスのように
「王国そのもの」にはなれない。
だが、
- 人間として
- アルヴァリアの若手として
- そしてWGTの未来として
両方の世界を知ってしまった存在になりつつある。
だからこそ、彼の選択は遅い。
だが、その分だけ重い。
もし次に描くなら、
- ノアがルシウス本人に、このことを遠回しに尋ねる場面
- あるいは、ロエロがノアに「ルシウスの裏側」を語る場面
そこから、ノアの中で何かが決定的に動きそうだね。
この先、ノアは
「ルシウスの真似」ではなく、
人間としてのルシウス的あり方を見つけにいく気がする。
I「ノアがルシウス本人に、このことを遠回しに尋ねる場面、この場面に居合わせたロエロがノアに「ルシウスの裏側」を語る場面の両方いこう。それを知るには、たぶん迷いの森にでるほうが学べると思うけど、アトラス入りしたルシウスに、既にアトラスで調整していたノアが話しかける感じではじめよう。」
A
いいね、この二つの場面はノアが“どこに立つ人間になるか”を決める分岐点だと思う。
一続きのエピソードとして書くね。
① ノアがルシウス本人に、遠回しに尋ねる場面
(場所:アトラス・クラウン前、アトラスの調整施設・夕方)
アトラスのトレーニング施設は、相変わらず人種も種族も入り混じっている。
ノアは、いつものように黙々とストレッチをしていた。
そこへ、遅れて入ってきた長身のエルフ――ルシウス。
周囲の空気が一段静まるのを、ノアはもう何度も見てきた。
それでも、今日は目を逸らさなかった。
少し間を置いて、ノアは立ち上がる。
「……あの」
ルシウスが振り向く。
その視線は、相変わらず静かで、圧がない。
「君か。アルヴァリアの」
「はい。ノアです」
一瞬の沈黙。
ノアは、直接は言わなかった。
「……ルシウスさんは、
国の伝統と、ここでのやり方、その……両方を使ってますよね」
言葉を選びながら。
「それって、迷いませんか」
ルシウスはすぐに答えなかった。
視線を遠くにやり、施設の天井を見上げる。
「迷う、という言葉は正確ではない」
淡々とした声。
「選択肢が多いだけだ」
ノアは思わず聞き返す。
「でも……国から、何か言われたりは」
「言われる」
即答だった。
「期待も、圧も、誇りも、すべてだ」
ノアの喉が鳴る。
「それでも、アトラスの技術を使うんですね」
ルシウスは、そこで初めてノアをまっすぐ見た。
「勝つためだ」
短く、揺れのない答え。
「私は、国の名で戦っている。
だからこそ、勝てない理由を作らない」
ノアは、その言葉を胸の奥で反芻する。
「……もし、人間で、
人間の伝統を守る立場だったら」
そこまで言って、ノアは言葉を止めた。
ルシウスは、わずかに口角を上げた。
「それは、君が決めることだ」
「私は答えを持っていない」
そう言って、ルシウスは歩き出した。
② その場に居合わせたロエロが語る「ルシウスの裏側」
ルシウスが去ったあと、
ノアはしばらく、その場に立ち尽くしていた。
「……重たい人だろ」
背後から、声がした。
振り向くと、ロエロがいた。
いつものキャディ姿だが、今日は少し疲れた表情だった。
「聞いてました?」
「全部は。
でも、だいたい察しはつく」
ロエロは、ノアの横に腰を下ろす。
「君、迷ってるだろ」
ノアは否定しなかった。
「ルシウスさんは……
最初から、ああだったんですか」
ロエロは小さく首を振る。
「違う」
少し間を置いて、言葉を選ぶ。
「最初から強かったけど、
最初から“背負える”人じゃなかった」
ノアは驚いたように顔を上げる。
「迷いの森、覚えてるか」
「はい」
「あそこを初めて勝ったとき、
あの人、夜ひとりで吐いてた」
ノアは言葉を失う。
「誰にも見せなかったけどな。
王国の象徴だ、森の王子だって言われながら」
ロエロは、床を見つめたまま続ける。
「勝ったから許された。
負けてたら、全部“甘え”だ」
「……」
「だから、あの人は
“勝つために使えるものは全部使う”って決めた」
ロエロは、静かにノアを見る。
「でもな、勘違いするなよ」
「アトラスを使ってるから、
楽をしてるわけじゃない」
「アトラスに来るたびに、
『これでも勝てなかったら、何を言われるか』
それを全部引き受けてる」
ノアは、息を吐いた。
「じゃあ……
迷いの森に出る意味って」
ロエロは、少しだけ笑った。
「学ぶなら、あそこだ」
「勝つか負けるかじゃない。
“背負う覚悟”が足りてるか、全部試される」
そして、最後にこう言った。
「君が迷ってるなら、
答えはアトラスじゃなくて、森にあるかもしれない」
ノアの胸に残ったもの
その夜、ノアは眠れなかった。
ルシウスの言葉。
ロエロの言葉。
勝てない理由を作らない
勝つために、すべてを引き受ける
迷いの森に出るか、出ないか。
それはもう、大会選択の話ではない。
「自分は、何を背負って勝ちたいのか」
ノアは、まだ答えを持っていない。
だが――
問いの形だけは、はっきりした。
次に描くなら、
- ノアが父にこの話を切り出す場面
-
あるいは、迷いの森のエントリー締切を前に、
ノアが名前を書く/消す瞬間
そこが、完全に“踏み出す一歩”になりそうだね。
I「そしたら、今年の迷いの森のエントリー締切を前に、 ノアが名前を消した瞬間、そしてルシウスとロエロと会話した後、来年の迷いの森に出る/出ないと決める場面、でいこう」
A
いいね。
これはノアが「今の自分」と「来年の自分」を切り分ける瞬間だと思う。
静かな二場面でいこう。
① 迷いの森・エントリー締切前
――ノアが名前を消した瞬間
アトラスの選手用ラウンジ。
壁際に設置された、デジタルと紙を併用したエントリーボード。
画面には、すでに多くの名前が並んでいた。
- ルシウス・シルヴァリオン
- フボヤマ
- ゼファル・アズラグリム
- セリオス・ナーヴァ
そして、その下。
Noah Greenvale
ノアは、しばらくそこを見つめていた。
迷いの森。
あのコースは、技術の話ではない。
精神の話だ。
——背負う覚悟が足りているか。
——負けたときに、何を失うのか。
指先が、ほんのわずかに震える。
「……今じゃない」
誰に言うでもなく、そう呟いた。
タップ音がひとつ。
名前が消える。
画面が更新され、
ノア・グリーンヴェイルの欄は、空白になった。
胸の奥に、
安堵と、悔しさと、自己嫌悪が一度に押し寄せる。
逃げた、という感覚。
だが同時に、
今ここで出ることが「誠実ではない」という確信もあった。
ノアはボードから視線を外し、
その場を静かに離れた。
② その夜
――ルシウスとロエロと話したあとで、来年を決める
夜のトレーニング施設。
照明は落とされ、
奥の打席だけが淡く光っている。
ルシウスが、黙々とパターを打っていた。
ロエロは少し離れたところで、データ端末を見ている。
ノアは、意を決して近づいた。
「……エントリー、消しました」
ルシウスは、打つ手を止めなかった。
「そうか」
それだけ。
ロエロがちらりとノアを見る。
「後悔してる顔だな」
ノアは苦笑した。
「正直に言うと……はい」
ルシウスが、ボールを拾いながら言う。
「それでいい」
ノアは驚いて顔を上げる。
「迷いの森は、
“出た者が偉い場所”ではない」
ルシウスは、ゆっくりノアを見る。
「“出る理由を言語化できた者”が、立つ場所だ」
ロエロが続ける。
「今年のお前は、
“出ない理由”のほうがはっきりしてた」
ノアは、深く息を吐いた。
「……じゃあ、僕は」
「来年だ」
ルシウスは、はっきり言った。
「来年、同じ場所で、
同じ選択を迫られたとき」
「そのときに、
“それでも出る”と言えるなら、来い」
ロエロが、少し笑う。
「森は逃げない。
お前が強くなるかどうかだけだ」
ノアは、胸の奥で何かが静かに固まるのを感じた。
恐怖は消えない。
だが、輪郭がはっきりした。
「……来年は、出ます」
言い切った。
「今年は、
“出ない選択をした自分”を背負って、
アトラス・クラウンに行きます」
ルシウスは、わずかに頷いた。
「それでいい」
ノアの決断
その夜、ノアは初めて、
迷いの森の夢を見なかった。
代わりに浮かんだのは、
霧のない、広いフェアウェイ。
来年は、逃げない。
ただし、今は立ち位置を固める。
ノアはまだ王者ではない。
だが、
“いつ戦うかを選べる選手”になり始めていた。
この決断が、
来年の迷いの森で
どんな意味を持つのか――
それは、もう物語の核心だね。
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