橘美月シリーズ大学編_#33「サ界」のためにフットサルに参加する美月。(……あの人が。楓花。)とミスコンを見据える理央。

橘美月シリーズは女子会もので、美月さんが大学生 (アップしている段階で阪大・薬・4年) の設定なので、本編とは別に美月さんの友達を作り、大学側も絡められるようにしておきましょう。メイド服などのありそうな服はメインモデルたちはある程度着てしまったので、サブのモデルを追加する意図があります笑

前回:「薬学一年から三人出ていますね。」「先生。」「誰に投票しました?」

I「橘美月×フットサル。プロンプトはこちら

I「良いね。実習後、美月、健太、橋本は講義を1つ挟んで、フットサルへ。美月参加はフットサルサークルの面々に共有されていたようで、普段はあまり来ない人も含めて参加者が多く、ギャラリーも多い (橘美月をみたい、楓花とのマッチアップもみれるかもしれない、みたいな期待笑)。ちなみに畠中、平野、原田らはギャラリーとして見に来ていて (目立ちにくい位置)、理央も偵察笑。フットサルなので、この面々で注目をあつめているのは橋本 (エースかつイケメン枠なので)。楓花にも視線が集まる。美月は女の子的な装備ではなく、スポーツ用のアンダーウェア (長袖のインナー、ロングスパッツなど) を纏ったガチ仕様(ちらりの可能性消える)笑。アップやストレッチの時点でみんな「えっ」みたいな感じ。体操経験者のような柔軟性 (実際器械体操選手出身の体育教師が力をいれて指導、床で高校の体操の団体で出場したこともある、進学校なのでチームは強くないが)、走り方が男性トップアスリートのようなきれいなフォーム(女の子走りではない)。体は細いけども、アジリティや空間認識能力が凄い、という感じ (だからサ界のパフォーマンスで即興でオーバーヘッドシュートをやれた)。遊びの人からガチの人まで幅広くいるサークルで、美月の動きは強豪私大のスタメンを張っている選手みたいな雰囲気笑。アジリティ系、特に切り返し、フェイント、チェンジオブペース、体さばき、更に空間や視野の広さをつかったプレーなんかは、ドン引きする感じ笑 (3年連続で高校のバスケで国体県選抜でスタメンで出てた選手、とすればまあわかる、みたいな。これなら選抜にに放り込まれて選出側の目に留まるよね、という感じ)。ギャラリーはかなりざわざわ。美月はトリックプレーのような目立つプレーを全くしてないけど、単に基礎能力の高さが光る感じ。空間把握のう力が高くて、体の制御がうまいので、後ろからきたボールをうまくトラップするとか、そういうのが光る感じで、女性側だと多くの場合圧倒してしまうので男性側に混ぜられる (女性としては足も速いが、さすがに男性のほうが早いし、男性のようなフィジカルはない)、しかもサークルなので通用して男性メンバーが美月からボールを取りにいった結果アンクルブレイク気味にかわされて尻餅をつくシーンも何度もみられた笑 (体が軽いので、切り返しの負担が小さく戻りがはやいし、そこからの加速も速い、こういうところはアスリートのそれ)。

健太や橋本は想像以上で満足してる感じ笑。美月は健太、橋本らと談笑 (ほかのメンバーにはひとみしり中笑)。理央は外で唖然としていて、原田がふざけて理央ボディタッチしているが全く築いていないというか意識をむける余裕がない笑。ここまでを元にエピソードをつくって。

A

月曜日・放課後

大学フットサルサークル 練習日

美月、健太、橋本は講義を一つ終えると、そのまま体育館へ向かった。


今日は妙に人が多い。

普段なら二十数人ほどの参加者が、この日は四十人近く集まっていた。

見学席にも学生がいる。

「今日は橘さん来るらしいぞ。」

「CMの子?」

「サ界のボーカル。」

「橋本と一緒に出るらしい。」

「楓花も来てるって。」

そんな噂が飛び交っていた。


体育館の隅。

目立たない位置には、

原田、平野、畠中の三人。

「今日は見物や。」

「橋本もいるし。」

「橘さんがどれくらいやれるか。」

その少し離れた場所。

帽子を深く被った理央も、

一人で立っていた。

(……偵察。)

本人はそう思っていた。


更衣室から戻ってきた美月を見て、

最初に空気が止まる。

「……え?」

服装が違う。


かわいいスポーツウェアではない。

長袖コンプレッションインナー。

ハーフパンツ。

その下にはロングスパッツ。

髪は高い位置でまとめられ、

アクセサリーなし。

ノーメイク。

完全に競技仕様だった。

健太が笑う。

「ガチや(笑)。」

橋本も吹き出す。

「そこまでとは思わんかった。」

美月は首を傾げる。

「動きやすいから。」

それだけだった。


アップが始まる。

ジョグ。

スキップ。

サイドステップ。

ランジ。

ここで周囲がざわつく。

「……え?」

「柔らか。」

美月の可動域がおかしい。

股関節。

肩。

体幹。

まるで器械体操経験者だった。

実際、

中高時代、

体育教師に勧められ、

床運動をかなり叩き込まれていた。

進学校なので全国を狙う学校ではなかった。

しかし、

教員は本気だった。


続いてダッシュ。

フォーム。

「……。」

「綺麗。」

女性特有の走りではない。

腰がぶれない。

腕振りも大きい。

地面を押す感覚が非常に強い。

橋本が苦笑する。

「これ。」

「高校スポーツやっとる人の走りや。」

三年生も頷く。

「しかも結構上。」


ボール回し。

ここからさらに空気が変わる。

美月は、

一切派手なことをしない。

ただ、

止める。

運ぶ。

見る。

それだけ。

なのに。

「あれ?」

「今どうやって止めた?」

後ろから来た浮き球。

振り返らず、

足裏で吸い付くように止める。

「……。」

ギャラリーがざわつく。


ミニゲーム開始。

女性チームへ。

……ではなく。

男性側へ。

理由は簡単だった。

女性相手では試合にならない。

橋本が笑う。

「今日は男側。」

美月。

「了解。」


開始五分。

空気が変わる。

派手なフェイントはない。

でも。

切り返し。

チェンジオブペース。

体の向き。

視線。

全部がおかしい。

「あっ。」

男性メンバーが寄せる。

次の瞬間。

スッ。

重心だけ外される。

「あ。」

そのまま尻もち。

体育館がどよめく。

「うわ!」

「今の!」

「アンクル入った!」


別の場面。

橋本から縦パス。

美月は受ける前に周囲を確認。

ワンタッチで方向転換。

二人の間を抜ける。

誰も強引な技は見ていない。

なのに。

追いつけない。

三年生が思わず言う。

「……視野。」

「広すぎる。」


さらに。

横からプレス。

美月。

身体を半歩だけ入れ替える。

接触ゼロ。

そのままボールだけ前へ。

追い付く。

加速。

「速っ!」

「軽っ!」

体重が軽い。

だから減速も加速も異常に速い。


健太は爆笑していた。

「想像以上(笑)。」

橋本は満足そう。

「だから言ったやろ。」

「普通じゃないって。」


一方、

美月本人。

試合が止まるたび、

健太や橋本と笑って話している。

「今のパス良かった。」

「橋本ナイス。」

「次こうしよう。」

他のサークルメンバーとは、

まだ少し距離がある。

人見知りらしく、

自分から輪に入っていく様子はない。

話しかけられれば笑顔で返す。

でも、

基本は健太たちの近くにいる。


ギャラリー席。

理央は、

一言も発しない。

(……。)

(これ。)

(何。)

目の前にいるのは、

CMの子でも、

歌手レベルのボーカルでもない。

競技者だった。

しかも、

かなり上。


原田はニヤニヤしながら近付く。

「九条さーん。」

肩を軽くつつく。

「どう?」

「橘さん。」

返事がない。

もう一度。

「九条さん?」

軽く腕をつつく。

それでも反応しない。

理央は、

まばたきも少なく、

ただコートだけを見ていた。

原田は平野を見る。

「……。」

「聞こえてへん(笑)。」

平野も苦笑い。

「完全に入ってる。」

畠中が笑う。

「人生で一番集中してる。」


理央は、

美月が男性相手に自然にプレーし、

しかも経験者ばかりのサークルで通用している姿から目を離せなかった。

歌。

勉強。

CM。

料理。

そして今度はスポーツ。

「……。」

無意識に拳を握る。

自分でも気づかないくらい、

力が入っていた。

体育館にはボールの弾む音と笑い声が響いている。

その中で、理央だけが静かに、「橘美月」という存在の大きさを改めて思い知らされていた。

I「良いね。そして健太らとパフォーマンスの練習。とりあえず何ができるのかいろいろさせてみて周りががやがやしている笑。バック宙とかムーンサルト含め、体操選手のような動きをさも当たり前のように体育館で披露 (コスプレ回でもやっていた)笑。サッカーボールでバスケの動きをさせても様になる笑。何をさせたら受けるかなとサークル側は悪乗りしている感じ笑。美月はサ界を盛り上げるため、みたいな感じのスタンスで注目されるかどうかは全く気にしておらず、体を動かすことはすきそうなので楽しんでいた笑。

楓花はというと、美月のいないほうでほかのメンバーらと談笑したり、なにかやったりしていた。こういう気配りとか配慮とか、そういうところがフットサルサークルの中でも人気な理由で、容姿端麗であっても高値の花感がなく、メンバーとフレンドリーにしている感じ。楓花は美月がいる側ではなく、美月が入ることによって結果的に輪の中心から外れるような人らのところにいて、そういう場を明るくするみたいな役割をしていた (計算とか狙ってやっているわけではない)。理央は楓花のほうをみて、これが楓花か、という感じ (流石ミスコンの有力候補で、前年も健闘したし、人気があるのもうなずける感じ。)。ギャラリーや、サークルの外の人にも親し気に会話をしていた。ここで原田が理央に、橘と楓花どっちが強敵?と聞くと、私こじんとしては橘さんに勝ちたいけど、ミスコンとしては楓花さんが強敵に思う、という感じのリアクション。理央も楓花をみて、これは強いな、みたいな感じ。ここまでをもとにエピソードをつくって。

A

月曜日・放課後

フットサルサークル体育館 ― サ界パフォーマンス特訓

ミニゲームが終わると、橋本がパンパンと手を叩いた。

「はい、本題!」

「サ界の間奏!」

健太も笑う。

「今日はこっちが目的やからな!」

美月はタオルで汗を拭きながら頷く。

「よろしくお願いします。」


すると橋本が悪い笑顔を浮かべた。

「……せっかくやし。」

「橘さん。」

「何できる?」

美月は少し考える。

「体を動かす系なら。」

健太がすぐ反応する。

「全部見せて(笑)」

周囲も笑う。

「そうそう!」

「体育館やし!」

「やれるだけ!」


最初は軽く前転。

続いて側転。

そこまでは普通だった。

しかし。

美月はそのまま勢いをつけ、

タンッ。

バック宙。

一回転。

着地。

ピタッ。

「…………。」

体育館が静まり返る。

一拍遅れて。

「うおおお!!」

拍手が起こる。


橋本が笑い転げる。

「これこれ!」

「これや(笑)」

健太も大爆笑。

「普通にやるな!」

美月は首を傾げる。

「できるから。」

それだけだった。


「じゃあ。」

「ムーンサルト!」

誰かが叫ぶ。

美月。

「はい。」

助走。

踏切。

空中で美しい弧を描き、

ムーンサルト。

ふわり。

着地。

またピタッ。

体育館。

「……。」

「え?」

「体操選手?」

「いやいやいや。」

「大学生?」


橋本が苦笑する。

「高校の体育教師が器械体操も本気で教えとったらしい。」

「聞いてはいた。」

「でも。」

「ここまでとは。」


健太。

「次!」

「サッカーボールでバスケ(笑)」

美月。

「いいよ。」

ボールを受け取る。

その瞬間。

空気が変わる。


クロスオーバー。

レッグスルー。

ビハインド。

もちろんボールはサッカーボール。

なのに。

完全にバスケットボールのリズム。

「えっ。」

「違和感ない。」

「何これ。」

そのまま。

ジャンプ。

空中でボールを一回転。

着地。

リフティング。

橋本へパス。

橋本が笑いながら胸で受ける。

「意味分からん(笑)。」


健太は完全に悪乗り。

「もっとあるやろ!」

「他!」

橋本も乗る。

「体操!」

「サッカー!」

「バスケ!」

「混ぜろ(笑)」


美月も楽しそうだった。

「じゃあ。」

ボールを持つ。

助走。

フェイント。

一人抜く動きを演じ。

そのまま前転。

起き上がる勢いでリフティング。

オーバーヘッド。

橋本キャッチ。

「はい終了。」

「完成(笑)。」

サークル全員が拍手する。

「これ!」

「これ使える!」

「間奏これや!」


美月は笑っていた。

「サ界が盛り上がるなら。」

「何でも。」

健太が笑う。

「橘さん。」

「ほんま自己主張せんな。」

美月はきょとん。

「みんなが目立てばいいから。」

その一言に、

橋本が少しだけ笑顔になる。

(だから皆ついてくるんやろな。)

そう思った。


一方。

反対側のコート。

楓花は全く違う空気を作っていた。

「今日久しぶりやん。」

「元気?」

「最近どう?」

女子メンバー。

一年生。

初心者。

普段あまり輪に入れない学生。

そんな人たちの輪の中に自然といる。

誰かを中心にするでもない。

自分が中心になるでもない。

自然と笑い声が広がっていく。

「楓花さん。」

「写真撮りません?」

「いいよー。」

「あ、みんな入ろ。」

気付けば、

周囲に五、六人集まっていた。


美月の周囲には、

「すごい!」

「見たい!」

という空気。

楓花の周囲には、

「一緒にいたい。」

という空気。

人気の種類が違っていた。


橋本が遠くから楓花を見る。

楓花も橋本を見る。

目が合う。

軽く笑って手を振る。

それだけ。

お互い邪魔しない。

お互い自分の場所で動く。

それが自然だった。


理央は、

その様子を黙って見ていた。

(……あの人が。)

(楓花。)

前年のミスコンでも上位。

今年も有力候補。

話には聞いていた。

実際に見るのは初めてだった。

(……。)

(これは。)

(人気あるの分かる。)

容姿だけではない。

誰とでも同じ距離感。

高嶺の花ではなく、

自然と人が寄ってくる。

計算ではない。

だからこそ強い。


その横で、

原田がニヤニヤしている。

「九条さん。」

「どっち?」

理央は目を向ける。

「何が?」

「橘。」

「楓花。」

「ミスコン。」

「どっちが強敵?」

理央はしばらく黙って、

二人を見比べた。

片方では、

美月が健太たちに囲まれて、

「次これできます?」

「できます。」

と笑いながらバック転をしている。

もう片方では、

楓花が一年生と写真を撮り、

笑顔で話している。

理央は静かに答えた。

「……私個人としては。」

「橘さんには勝ちたい。」

少し間を置く。

「でも。」

「ミスコンとして考えたら。」

「楓花さんの方が強敵。」

原田が意外そうな顔をする。

「へぇ。」

理央は楓花を見つめたまま、

小さく呟く。

「……あれは強い。」

それは容姿ではない。

人が自然と集まり、

場の空気を柔らかく変える力。

理央は初めて、

「ミスコンは見た目だけでは勝てない競技なのかもしれない」

と、ほんの少しだけ感じ始めていた。

その一方で、体育館の中央では、美月が健太たちに「次は前方宙返りも見たい!」とリクエストされ、「じゃあ一回だけ」と軽い調子で応じ、再びギャラリーから大きなどよめきが起きていた。体育館全体が、まるで小さな学園祭のような熱気に包まれていた。

I「良いね。その後、練習が終了し、美月はサークルにいろんな人から勧誘されるが断り、正式には入らないものの、健太や橋本らにまたきて、みたいな話を振られたときは今回みたいな機会があれば、という感じ。その後、楓花も加わり美月と談笑 (楓花は橋本の彼女として美月らの飲み会に参加することもあったから、美月とはある程度会話していて、サークルの他のメンバーと違って人見知りされてない笑)。美月は打ち上げとか飲み会とかを誘われたが断り、風呂入って寝たい(意訳)といってそのまま帰った笑。健太、橋本、楓花らは美月らしいと慣れた感じ笑。残った面々は美月の余韻が残るも、活動後の時間へ。

理央は楓花のほうをみながら、どうやって勝つのかを考えながら体育館をあとにする。美月には話題性がある。楓花には時間をかけて培った信頼やコミュニティ。美月が歌とかパフォーマンスとかCMがあるから話題性枠になっているだけで、むしろこれはイレギュラー。ミスコンで正攻法でどうやって楓花のような候補に勝つのか理央は考える。理央の中ではどんなアイディアがでるだろう?エピソードを考えてみて。

A

良い流れですね。この場面だと、理央は初めて「美月に勝つこと」と「ミスコンで勝つこと」が別問題だと整理し始めると思います。そこが彼女の成長ポイントになりそうです。


月曜日・夕方

フットサルサークル練習終了

「お疲れさまでしたー!」

体育館に拍手が響く。

橋本が笑いながら言う。

「今日は橘さんのおかげでめちゃくちゃ盛り上がったわ。」

周囲も一斉に頷いた。

「ほんま。」

「すごかった。」

「また来て!」

「次は最初から参加して!」

「大会出ようよ(笑)」

「うち入らん?」

勧誘が次々飛ぶ。


美月は困ったように笑う。

「ありがとうございます。」

「でもサークルは入らないです。」

「薬学部、結構忙しいので。」

「あと家庭教師もありますし。」

その答え方は柔らかい。

誰も嫌な気持ちにならない断り方だった。

橋本が笑う。

「ほらな(笑)」

「予想通り。」

健太も苦笑する。

「せやけど。」

「今日みたいなんまたやろ?」

美月は少し考えて、

笑顔で頷いた。

「サ界の練習なら。」

「またお願いします。」

「よっしゃ!」

橋本が拳を握る。

「その言葉だけで十分!」


そこへ、

楓花が歩いてくる。

「美月ちゃん。」

「今日はお疲れさま。」

「楓花さん。」

二人は自然に笑い合う。

楓花は橋本の恋人ということもあり、

飲み会でも何度か顔を合わせている。

だから美月も人見知りしない。

楓花が笑う。

「想像以上だった。」

「ありがとう。」

美月は首を振る。

「みんなのおかげです。」

「橋本たちが合わせてくれたので。」

橋本が横から入る。

「いやいや(笑)」

「合わせてもらったのこっちや。」

四人で笑う。


その様子を、

サークル一年生たちは少し羨ましそうに見ていた。

「もう仲良しなんや。」

「楓花先輩とも普通に話してる。」

「自然やなぁ。」


片付けが終わる。

誰かが声をかける。

「このあと飲み行く人ー!」

「打ち上げ!」

「橘さんも!」

美月は笑った。

「今日は帰ります。」

「お風呂入って寝たいので。」

一瞬静まり返る。

橋本が吹き出す。

「出た(笑)」

健太も笑う。

「橘らしい。」

楓花も肩を揺らす。

「変わらないね。」

美月はきょとん。

「明日授業ですし。」

「じゃ、お疲れさまでした。」

軽く頭を下げ、

そのまま一人で体育館を後にした。

後ろ姿が見えなくなるまで、

何人もの学生が見送っていた。


残ったメンバーは、

まだ美月の話で盛り上がっている。

「あのバック宙。」

「すごかった。」

「歌もうまいし。」

「スポーツも。」

「なんなん。」

楓花は苦笑する。

「でも本人は普通なんだよね。」

橋本も笑う。

「そういう奴なんよ。」

「だから友達やっとる。」


一方。

体育館の外。

理央は歩きながら考えていた。

(……。)

今日一日で、

はっきり分かったことがある。

橘美月。

あれは、

"話題"そのものだ。

歌。

CM。

スポーツ。

学業。

全部が偶然重なっている。

(でも。)

(あれは特殊。)

あそこまで積み重なった人間は珍しい。

真似しようとしてもできない。

だから、

そこを追いかけても勝てない。

理央は視線を前へ向ける。

(問題は。)

(楓花さん。)

あの人は違う。

特別な肩書きはない。

CMもない。

歌もない。

全国大会もない。

それなのに、

人気がある。

(どうして。)

今日、

答えを少し見た気がした。

人が自然に集まる。

誰にでも同じ距離。

輪から外れた人の所へ行く。

中心を奪わない。

でも、

気付いたら中心になっている。

(……。)

(これは。)

(努力で近づける。)

理央は初めて、

"勝ち方"を考え始めた。

これまでは、

「私の方がかわいい。」

「私の方がおしゃれ。」

そんな比較だった。

でも、

楓花を見て、

それだけでは足りないと理解した。


頭の中で、

自然と作戦が組み上がっていく。

  • ミスコン期間中は合コンを減らす。
  • SNSは「自分を見て」ではなく、応援してくれる人への感謝を中心にする。
  • 学部内だけでなく他学部とも交流する。
  • 容姿だけでなく、人柄も見てもらう。
  • 今まであまり話してこなかった女子とも積極的に関わる。
  • 勉強も手を抜かない。「努力している姿」を見せる。
  • ミスコン期間中は恋愛よりもミスコンを優先する。

(……。)

(私は。)

(楓花さんみたいにはなれない。)

(でも。)

(私なりのやり方なら。)

(まだ勝負できる。)

そこへ、

葵が後ろから追いつく。

「理央。」

「帰ろ?」

理央は小さく笑った。

「うん。」

「今日分かった。」

「勝つ相手は橘さんだけじゃなかった。」

葵は首を傾げる。

「?」

理央は体育館を振り返る。

「本当に強いのは。」

「楓花さん。」

「……あの人かもしれない。」

その目には、悔しさだけではなく、初めて「ミスコンという競技」を研究しようとする冷静さが宿り始めていた。

I「良いね。ここで理央がミスコンのサイトを確認、候補者の写真を見る理央。楓花の部分はナチュラルで飾らない写真と、モデルのようにしっかり着飾って撮影された1枚など、複数のバージョンが並ぶ。美月は普段着、旅行の時のいつもより女性らしい服、コスプレ (うちはイタチ、ゼロスーツ゚サムス) の画像。美月のほうはCMとか歌で話題があるから、コスプレ画像を乗せるのもこれはこれで目立つかもしれない笑。美月のほうは話題性枠なので、多少ふざけることで票が入るのもあるかもしれない笑。美月自体はメイクなしアクセサリーなしでとてもミスコンで勝とうとしているようには見えない。

理央は、美月がこれだけ着飾ってこないのだから、見た目、ファッション性とか女性らしさのような要素では理央が美月に勝てると思っているようだ (個人の主観)。しかし、その理屈で考えると、楓花が厄介。ドレスアップした版 (美月にはない)がしっかり強い (理央基準)。理央はどうやって他学部と関わろうか考えている。理央もサークルには入っている (女の子ちっくなコミュニケーション系、コミュニティづくりとかが柱になるようなそんなにがっつりやらない類)。そのころ、美優は彩音らと動画撮影中。美優の言葉で泣いていたエピソードの説明。動画の中で、アイドルになりたかったこと、ミスコンに出た理由、泣いた理由、理央が逃げずに立ち向かっていることに影響されたこと、自分も逃げたくないことを語っていた。理央は楓花を意識して焦っていた (夜にカフェで葵らとごはん) とき、美優のどう画が上がってきて、背中をおされた気分になる。一方美月はお風呂にお湯を張って浸かってしっかりリラックス (長風呂) 中。ここまでをエピソードにしてみて。

A

月曜日・夜

それぞれが、それぞれの場所で、今日一日を振り返っていた。


九条理央

部屋へ戻ると、理央はすぐスマートフォンを開いた。

阪大学園祭ミスコン特設ページ。

候補者一覧。

理央は自分のプロフィールを眺めた後、ライバルたちへ視線を移す。


まず目に入るのは――

楓花。

写真が数枚掲載されている。

一枚目。

自然光の中で笑う、ごく自然な表情。

飾らない。

気取らない。

それでいて完成されている。

二枚目。

しっかりヘアメイクを施し、

ワンピース姿でモデル撮影のような一枚。

「……。」

理央は少し唇を噛む。

(やっぱり。)

(ちゃんと着飾ると強い。)

美人というだけではない。

「魅せ方」を知っている。

その写真だった。


続いて、

橘美月。

写真一覧。

一枚目。

普段着。

白いニット。

ポニーテール。

ノーメイク。

アクセサリーなし。

笑顔も控えめ。

(……。)

理央は眉をひそめる。

「これ。」

「本当にミスコン?」


二枚目。

旅行で撮影されたらしい一枚

普段より少し女性らしい服。

良い笑顔。


三枚目。

万博コスプレ。

イタチ

ゼロスーツサムス

「あ。」

理央は少しだけ理解する。

(そうか。)

(この人。)

(話題性枠なんだ。)

CM。

ライブ。

サ界。

歌。

コスプレ。

今まで積み重なった話題が全部ある。

むしろ、

少し遊んだ写真を載せた方が、

「橘美月らしい。」

という評価になる。

(……。)

(この人。)

(ミスコン勝とうとしてない。)

それが率直な感想だった。


そして、

理央は思う。

(だったら。)

(見た目。)

(ファッション。)

(女性らしさ。)

(そこは勝てる。)

少なくとも、

本人はそう信じている。

そこは自分の土俵だ。

しかし。

画面をもう一度楓花へ戻す。

(……。)

(でも。)

(楓花さんは。)

(そこも強い。)

理央はスマホを伏せた。


考え始める。

(他学部。)

(どう関わる。)

薬学部だけでは票が足りない。

経済。

法。

外国語。

工。

理。

教育。

もっと知ってもらわなければ。

理央は自分の予定帳を開く。

所属しているコミュニケーション系サークル。

イベント交流会。

ボランティア。

女子会。

他学部交流。

(……。)

(今週から。)

(全部顔を出そう。)

(知ってもらわないと。)

それは、

初めて「人気を作る努力」を始めようとする瞬間だった。


そのころ――

美優の部屋

スマホが固定される。

彩音が確認する。

「映ってる!」

真帆が優しく言う。

「ゆっくりでいいよ。」

美優は深呼吸した。

まだ少し震えている。

でも。

今日は逃げない。

カメラを見つめた。


「こんにちは。」

「薬学部一年の。」

「川崎美優です。」

少し間。

「先日。」

「大学で泣いてしまった動画が上がりました。」

彩音も真帆も黙って見守る。


「……あれは。」

「誰かに何かされたからじゃありません。」

「私が。」

「ずっと。」

「自分から逃げ続けてきた結果です。」

少しずつ。

言葉が出てくる。


「子どものころ。」

「アイドルになりたかったです。」

「でも。」

「挑戦する勇気がありませんでした。」

「だから。」

「ミスコンに応募しました。」


「それでも。」

「私は。」

「また逃げそうになりました。」

「先生に言われたこと。」

「同級生 (菊池) に言われたこと。」

「芸能事務所の人 (瀬川) に言われたこと。」

「全部。」

「図星でした。」


少し笑う。

涙はない。

「でも。」

「九条理央さんを見て。」

「何度負けても。」

「立ち向かっている姿を見て。」

「私も。」

「逃げたくないと思いました。」


「だから。」

「ミスコンも。」

「大学生活も。」

「最後まで頑張ります。」

「応援していただけたら嬉しいです。」

ぺこり。

動画終了。


彩音がすぐ拍手する。

「いい!」

真帆も微笑む。

「ちゃんと伝わる。」

美優は照れながら笑った。

「ありがとう……。」

それは久しぶりに見た、

自然な笑顔だった。


同じころ

夜。

駅前のカフェ。

理央たち五人。

葵がスマホを見ていた。

「あ。」

「上がった。」

「美優ちゃん。」

理央も何気なく画面を見る。

動画が流れる。

最後まで、

誰も喋らなかった。

見終わる。

沈黙。

理央は小さく息を吐いた。

「……。」

(私を見て。)

(立ち向かおうと思った。)

その一言だけが、

胸に残る。

理央は苦笑する。

「私。」

「負けっぱなしなのにね。」

葵は首を振る。

「でも。」

「逃げてない。」

「それ見て勇気もらえる人っているんだよ。」

理央は少しだけ笑った。

「……そっか。」

スマホをもう一度見た。

美優の最後の一言。

「逃げたくない。」

理央は静かに呟く。

「私も。」

「負けたくない。」

それは美月だけではない。

楓花にも。

自分自身にも。

その動画は、不思議と理央の焦りを少しだけ整理してくれた。


さらにそのころ

橘美月。

自宅。

浴槽にはゆっくりとお湯が張られている。

「ふぅ……。」

肩まで浸かる。

長風呂。

静かな音楽。

スマホはリビング。

通知も見ない。

今日のフットサル。

サ界。

料理。

明日の授業。

そんなことをぼんやり考えながら、

目を閉じる。

(今日は結構動いたな。)

その程度だった。

ミスコン。

順位。

ライバル。

SNS。

話題。

そんなものは、

今の美月の頭には一切なかった。

ただ、

「今日は充実してた。」

そう思いながら、

ゆっくり湯気の中で一日の疲れを流していた。

次回:「奇妙な共闘関係」陰口・印象操作で場をかき回す人物が動く。

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