橘美月シリーズ大学編_#38日曜日、それぞれの追い込み。

橘美月シリーズは女子会もので、美月さんが大学生 (アップしている段階で阪大・薬・4年) の設定なので、本編とは別に美月さんの友達を作り、大学側も絡められるようにしておきましょう。メイド服などのありそうな服はメインモデルたちはある程度着てしまったので、サブのモデルを追加する意図があります笑

前回:「一緒に食卓を囲む美月たち、競う人」ミスコン予選、大詰めへ。

橘美月シリーズ大学編一覧&ギャラリー等

I「橘美月×寝顔×ひまわり

I「良いね。その後土曜夜に菜奈美が美月に、翌日のサ界の練習に一緒にいっていいか聞き、優香も自分も一緒に言ってもよいかと聞き、美月は即答でOKという。優香は、最近は休日の菜奈美は相当気落ちしていて、とても見ていられるような状態ではなく、優香がそばにいる状態のようだ。美月は自分達は味方だということを伝え、朝から一緒に行こうと誘い、二人は喜ぶ。美月はその後、家に帰り、ゆっくり風呂に浸かってしっかり体を休め、ぐっすり寝ていた。

翌朝、健太は美優のことを気遣いながらもサ界の練習で栞家に、美月は菜奈美と優香と一緒に栞家に来ていた。優香は緊張していたが、菜奈美はにこにこしながら美月らの練習をみていた。優香は美月の生歌にものすごく驚いていた笑。休憩時間に栞母と美月がお昼ごはんを作り、栞父、栞兄を交えてお昼ご飯を食べていた。このころには菜奈美と優香は馴染んでおり、今度は優香が泣きだす。どうやら、美月らと一緒にいて、菜奈美の楽しそうな様子や安心している様子をみるのが久しぶりだったからだそうだ。健太がチアリーディング系の二人に合わせてアドリブで踊ってみても良いよ (意訳、栞の家族にやってもよいか許可をとった上で) と伝えると、二人とも乗り気で演奏に合わせて軽めに踊る笑。アドリブだがこの二人は躍らせても上手で、美月の歌にあわせて楽しんで踊っていた。サ界のメンバーは予選の時に既にきまっているので、チアリーディング系の二人をメンバーに入れることはできないけど、菜奈美は、ミスコンよりこっちの方がでたい (居心地が良い) という話をする。健太は、橋本が乱入で入るから、ミスコンの方で時間帯があうなら乱入したら?と持ち掛ける。優香のほうは出られるわけで。菜奈美には、ミスコンでいわれもないことを言われた後だから、潔白だって示す意味でもミスコンの場にいたほうが良いのでは?(意訳) ということで、終わってから来て、という感じになって、菜奈美はそうする、ということを言っていた。

美月はというと、本選の出場は確定しているが、サ界を優先するので当日のアピールタイムに不在確定で、参考記録扱いになるけど (場合によっては特例で参加になるかもしれないけど)、美月はそれで良いと言っている (あくまでミスコンは学園祭を盛り上げるために力になれればという意図と、サ界の企画を成功させることにつなげたいから)。栞宅の面々は明るい空気。

対して、美優は逆で、朝ご飯を全く食べず、朝はずっと泣いていた。彩音、真帆が美優に一緒に頑張ろう、というはなしをして、気晴らしに外に出よう、と誘う。なんとか昼に外に美優を連れだすことに。ここまでをエピソードにして。

A

日曜日・朝

土曜の夜。

美月が風呂から上がり、髪を乾かしている頃。

スマホが鳴った。

送信者は――

朝倉菜奈美。

「橘さん。」

「明日の練習……」

「見学してもいいですか?」

少し間を置いて、

もう一件。

「優香も一緒に行きたいって。」

既読はすぐについた。

美月から返ってきた返事は、とても短かった。

「もちろん😊」

「朝、一緒に行こう。」

「私たちは味方だから。」

菜奈美は画面を見つめた。

少しだけ目が潤む。

優香も隣から覗き込む。

「……よかった。」

「うん。」

菜奈美は本当に久しぶりに安心したような笑顔を見せた。


その後。

美月はスマホを置く。

「よし。」

小さく伸びをする。

今日はもう考えない。

ゆっくり湯船へ浸かる。

熱すぎないお湯。

肩まで沈み、

静かに目を閉じる。

「……ふぅ。」

それが美月にとって、一番のリセットだった。

風呂から上がると、

簡単に翌日の準備だけ済ませ、

布団へ。

数分後には、

すやすやと眠っていた。


日曜日・朝

一方。

美優の家。

健太は少し早く起きていた。

美優の部屋を見る。

静かだ。

彩音も起きてくる。

「今日は行く?」

健太は少し考えて答える。

「……行く。」

「でも気になる。」

真帆も起きてきた。

「こっちは任せて。」

「サ界も大事。」

健太は頷いた。

「ありがとう。」


栞の家へ

駅前。

美月は待っていた。

「おはよう。」

菜奈美。

優香。

二人がやって来る。

「お、おはようございます。」

優香は少し緊張していた。

美月はいつもの笑顔。

「行こう。」

三人で電車に乗る。


栞の家。

「お邪魔します。」

栞が笑う。

「いらっしゃい!」

坂井。

直人。

健太。

みんな自然に迎えた。

「どうぞどうぞ。」

緊張していた優香も、

少しずつ肩の力が抜けていく。


練習開始

坂井がギターを鳴らす。

「じゃあ一曲。」

美月が歌い始める。

「……。」

優香。

目を見開く。

(え。)

(これ。)

(本当に学生?)

歌が終わる。

優香は思わず声を出した。

「すご……。」

「テレビの人じゃん。」

健太が笑う。

「みんな最初そう言う。」

坂井も苦笑い。

「もう慣れた。」

菜奈美は。

ずっと。

にこにこしていた。

自然に手拍子をしている。

その笑顔を見て、

優香も少し安心する。


「休憩ー。」

栞母がエプロン姿で現れる。

「美月ちゃん。」

「お願い。」

「はい!」

もう息はぴったり。

二人でキッチンへ。

包丁。

フライパン。

栞母も笑う。

「もう助手じゃないね。」

「共同作業。」

美月も笑う。

「楽しいです。」


料理完成。

栞父。

栞兄も合流。

みんなでいただきます。

「おいしい!」

栞兄が笑う。

「また食べたい。」

美月も嬉しそうだった。


その時だった。

優香が突然。

ぽろっ。

涙を流した。

「え?」

菜奈美が驚く。

優香は慌てて目を拭く。

「違うの。」

「嬉しくて。」

「最近。」

「菜奈美。」

「全然笑わなかった。」

「ご飯も。」

「喋るのも。」

「見てられなかった。」

少し笑う。

「でも。」

「今日は。」

「こんなに笑ってる。」

「久しぶり。」

「それが嬉しくて。」

菜奈美も少し目を潤ませる。

美月は優しく笑った。

「また来てね。」

優香は大きく頷いた。


午後の練習

健太が突然言う。

「そうだ。」

「二人。」

「チアやってるよね?」

菜奈美。

「うん。」

「せっかくだし。」

「一曲。」

「踊ってみる?」

栞父へ確認。

「どうですか?」

栞父は笑う。

「もちろん。」

「家壊さなければ。」

みんな笑った。


演奏開始。

菜奈美と優香。

最初は軽く。

しかし。

身体が覚えていた。

自然にシンクロする。

ターン。

ジャンプ。

アームモーション。

サ界の演奏にぴったり合う。

坂井が演奏しながら笑う。

「いいじゃん!」

直人もリズムを強める。

美月も楽しそうに歌う。

一曲終わると拍手。

栞兄が笑う。

「本番みたい。」


菜奈美は照れながら言った。

「……。」

「私。」

「ミスコンより。」

「こっち出たい。」

その場が笑いに包まれる。

健太がすぐ返す。

「じゃ。」

「橋本乱入枠あるじゃん。」

「時間合えば。」

「乱入したら?」

菜奈美が笑う。

「いいの?」

「もちろん。」

「ただ。」

「ミスコンは最後まで出よう。」

健太の表情が少し真面目になる。

「今逃げたら。」

「潔白も示せない。」

「終わってから来ればいい。」

菜奈美は静かに頷いた。

「うん。」

「そうする。」


美月も話に加わる。

「私は。」

「当日。」

「サ界優先だから。」

「ミスコンのアピールタイム。」

「たぶん出られない。」

健太が笑う。

「参考記録の人。」

美月も笑った。

「それでいいよ。」

「学園祭が盛り上がれば。」

「サ界が成功したら。」

「私は十分。」

誰も驚かなかった。

美月らしい。

みんなそう思っていた。

栞の家は、

終始明るい笑い声に包まれていた。


一方

美優の家

朝。

美優は朝食に手をつけなかった。

パンも。

スープも。

そのまま。

「……。」

涙だけが落ちる。

彩音が隣へ座る。

「美優。」

真帆も向かいに座る。

「昨日のこと。」

「すぐ整理できなくて当たり前。」

彩音が静かに続ける。

「でも。」

「一緒に頑張ろ。」

「一人じゃない。」

美優は小さく頷く。

しかし。

涙は止まらない。

真帆が微笑む。

「今日は。」

「気晴らしに外行こう。」

「ずっと家にいたら。」

「もっと苦しくなる。」

彩音も立ち上がる。

「お昼。」

「少しだけ散歩しよう。」

「美味しいもの探そう。」

美優はしばらく黙っていた。

やがて。

本当に小さく。

「……うん。」

と答えた。

その返事を聞いた彩音と真帆は顔を見合わせ、小さく笑う。

まずは家の外へ出ること。

その一歩だけでも、今の美優にとっては十分な前進だった。

I「良いね。日曜朝、理央は大学でPR活動。千佳とか友達らの協力もあって、少しずつ理央を支えてくれそうな人が増えている感じで手ごたえを感じる理央、来週の日曜日が予選の締め、そこで6位以内に残れば本選出場、理央は現在5位。4位より上の候補らが落ちてこないというか、ここから先が正念場、という感じ。姫華も追い込みで、男性の協力者らと選挙運動みたいにPRをしていて、理央と姫華がマッチアップし、表面上は二人とも優等生回答をするが、内心はお互いバチバチしていた笑。

そのころ、美優、彩音、真帆らは、大阪の都心へ。美優が彩音らと歩いていた時、テレビが映っている街の大型スクリーンに美月のCMが偶然映る。それを見て美優はその場に泣き崩れ、その場の街の人が心配してかけつけ、その場が騒然となる。美優がある程度落ち着いたろころで、美優は鞄がないことに気付く。スマホ、学生賞、財布、家の鍵、全てそのかばんに入っており、泣き崩れた後に落とし、そして狼狽し、思いっきりこけて足をすりむく(擦り傷)。彩音らが警察に確認すると、ちょうとそのあたりでひったくり犯がつかまり、美優の鞄が盗まれていたことがわかり、盗品の中に美優のものが確認できた。この日、警察側の待ち時間の間に、彩音らは美優を休日もやっている病院に連れていき、美優が大きなけがをしているわけではないことを確認し、美優の持ち物を取り戻し、美優の家に帰宅した。ちゃんと全部もどっていることを確認した。

この時点で時間は夜を回っており、美優の家に入れないので、美月らみんなで晩御飯を囲う予定はなくなり、三人だけで美優の家に帰る。彩音、真帆らが美優に謝り、美優はずっとうつむいている。帰った後再び泣き出し、ご飯を食べようとしない。晩御飯を食べないと、朝昼晩の三食を抜いていることになる。ここで彩音と真帆が二人で協力して料理をつくり、三人分の料理を残り物でつくる。クオリティも味も美月と比べるとはるかに劣るが、頑張ってつくったことは伝わる感じ。美優はうつむきながらも、彩音らの料理を食べ、二人にお礼を言う。彩音と真帆は場の空気が冷たくならないように、自分たちの料理をネタにしながら、明るい雰囲気にもっていこうと努力していた。ここまでをエピソードにして。

A

日曜日・午前

――それぞれの追い込み

大学キャンパス。

日曜にもかかわらず、学園祭準備やサークル活動で学生は思ったより多い。

九条理央は、朝から動いていた。

「おはようございます!」

笑顔で頭を下げる。

知っている人には挨拶。

初対面には自己紹介。

ミスコンのお願いだけでは終わらせず、少し雑談もする。

ここ数日で少しずつ慣れてきた。

千佳も実行委員の仕事の合間に顔を出す。

「理央、こっち。」

「この人たち去年ボランティア一緒だった。」

「紹介するね。」

理央は深く頭を下げた。

「薬学部一年の九条理央です。」

「よろしくお願いします。」

自然に会話が広がる。

「あ、動画見たよ。」

「頑張ってね。」

「応援する。」

その言葉が少しずつ増えていた。


昼頃。

スマホを確認する。

順位。

5位。

先週より一つ上。

安全圏。

しかし。

四位との差はまだある。

そして。

下を見る。

7位 白鳥姫華。

少しずつ票を集めている。

来週の日曜。

予選締切。

六位以内。

そこが本当の勝負だった。

理央は拳を握る。

(まだ足りない。)

(ここから。)

(ここからだ。)


一方

キャンパスの別エリア。

白鳥姫華。

今日も取り巻きの男子二人を従えて歩いていた。

「お願いします♡」

「今年も頑張ります♡」

笑顔。

柔らかい声。

写真。

握手。

優等生そのもの。

そこで。

理央と鉢合わせる。

空気が少し止まる。

姫華が先に笑った。

「九条さん。」

「お互い頑張りましょうね。」

理央も笑顔。

「はい。」

「白鳥先輩も。」

周囲から見れば、

何の問題もない。

しかし。

二人の視線だけは違った。

(絶対負けない。)

(今年は私が残る。)

(私は落ちない。)

(五位は渡さない。)

火花だけが静かに散っていた。


同じ頃

大阪・都心

「今日は気分転換!」

彩音が笑う。

「歩こう!」

真帆も頷く。

美優は小さく笑った。

「……うん。」

無理にでも外へ。

それが今日の目的だった。


繁華街。

休日。

人が多い。

大型ビジョンが街を照らす。

三人が横断歩道で止まった。

その瞬間だった。

大型スクリーン。

CMが切り替わる。

青空。

街並み。

そして。

橘美月。

笑顔で歩いている。

薬のCM。

「――」

美優の足が止まる。

目が動かない。

スクリーンの中では。

美月が自然に笑っている。

ナレーション。

爽やかな音楽。

「……。」

次の瞬間。

美優はその場で崩れ落ちた。

「っ……」

膝から落ちる。

涙が止まらない。

「美優!」

「大丈夫!?」

彩音が支える。

真帆もしゃがむ。

周囲がざわついた。

「救急車?」

「大丈夫ですか?」

「水持ってきます!」

街の人まで集まる。

一時騒然。


十分ほどして。

呼吸も落ち着いた。

彩音が言う。

「帰ろ。」

美優は頷こうとして。

突然。

顔色が変わる。

「……。」

「鞄。」

「え?」

「鞄がない。」

全員止まる。

財布。

学生証。

スマホ。

鍵。

全部。

そこに入っている。

「うそ……」

狼狽。

美優は立ち上がろうとして。

思い切り転ぶ。

「きゃっ!」

膝。

手。

擦り傷。

彩音が慌てて抱き起こす。

「落ち着いて!」


警察へ。

事情を話す。

すると。

警察官が確認して戻ってきた。

「もしかすると。」

「あなたのバッグかもしれません。」

「え?」

少し前。

近くで。

ひったくり犯が現行犯逮捕。

盗品を確認中だった。

その中に。

美優のバッグ。

財布。

スマホ。

学生証。

鍵。

全部あった。

彩音が大きく息を吐く。

「よかった……。」

真帆もその場に座り込む。

「本当によかった……。」


しかし。

膝の傷。

転倒。

念のため。

休日診療の病院へ。

レントゲン。

診察。

結果。

「擦り傷だけですね。」

「骨は大丈夫。」

三人とも安堵した。


警察で返却。

中身確認。

財布。

スマホ。

学生証。

鍵。

全部ある。

本当に戻ってきた。

その頃には。

夜。

予定していた。

皆との夕食には到底間に合わなかった。


美優の家

静かだった。

彩音。

真帆。

美優。

三人だけ。

玄関を開ける。

美優は。

そのまま座り込む。

「……。」

うつむく。

彩音が静かに言った。

「ごめん。」

「私たち。」

「もっとちゃんと見てれば……」

真帆も頭を下げる。

「ごめんね。」

美優は首を振る。

「違う。」

「私が。」

「勝手に。」

「泣いて。」

「全部。」

「私が悪い。」

また涙。


時間だけが過ぎる。

食卓は空。

朝。

昼。

夜。

今日は。

何も食べていない。

彩音が立ち上がる。

「真帆。」

「作ろ。」

真帆も立つ。

「うん。」

冷蔵庫。

残り物。

卵。

野菜。

ベーコン。

ご飯。

ある物だけ。

二人で相談しながら。

「あれ?」

「これ塩入れた?」

「たぶん。」

「たぶんって何!」

二人とも笑う。

「美月なら。」

「ここでなんか魔法みたいなの作るんだろうね。」

「私ら。」

「現実担当。」

「家庭料理担当!」

「いや学生担当!」

二人で笑い合う。


三十分後。

完成。

見た目。

味。

正直。

美月には遠く及ばない。

それでも。

温かかった。

彩音が皿を置く。

「どうぞ。」

真帆が笑う。

「今日は。」

「美月シェフ休みなので。」

「代理シェフ二名です。」

美優は。

少しだけ笑った。

フォークを持つ。

一口。

ゆっくり噛む。

「……。」

「おいしい?」

彩音が聞く。

美優は小さく頷いた。

「うん。」

「ありがとう。」

涙をこらえながら。

「……ありがとう。」

彩音と真帆は顔を見合わせる。

「よし。」

「今日はこれで合格!」

「明日はもうちょっとマシなの作ろ!」

「いや。」

「美月基準は禁止!」

三人とも、

ほんの少しだけ笑った。

その笑顔はまだ弱々しかったが、張りつめていた空気を少しだけ和らげるには十分だった。外ではミスコンや誹謗中傷、順位争いが続いていたが、この夜の食卓では、彩音と真帆はただ一つ、「美優が一口でも食べてくれた」という小さな前進を大切に受け止めていた。

I「良いね。美月らは、美優宅に行けないので、サ界組は練習を延長し、夕ご飯も栞家で食べることにする。ミスコンの追い込みも佳境で、理央、姫華も大学で頑張っていた。そのころ、八木和葉は外に出ようとするも、再び妙な男がつけている感じがして、外に出るのを躊躇してしまう。これでは休日に思ったように活動できないようだ。原田らが悪乗りの延長で、共通のサークルの人が入って、八木和葉を車に乗せて外に連れ出す。そして八木和葉もミスコンの予選の追い込みに向けて、活動。これで結果として (妙な男というか付きまとっている連中の影響で)ドタキャンなど、周りに迷惑をかけたと思しき面々に誤っている。姫華は、八木和葉が外に出てくるようになっていたのを表には出さないが内心むっとしていた。対して美月らは和気あいあいとしていて、美優を心配して連絡をそれぞれ入れて、彩音らが大丈夫と返す。晩御飯はしっかり時間をかけられたため、いつもより少し豪華 (美月も料理) で、栞兄は満足そう笑。晩御飯後、解散し、健太は美優宅で彩音らと合流、美月、菜奈美、優香が一緒に帰宅し、坂井と直人はそれぞれ自宅へ、菜奈美、優香は美月と雑談しながら帰宅。美月に普段何しているかを聞いたら、勉強、料理、風呂とか、寝るのがはやい生活で、驚く笑。美月はマイペース笑。菜奈実、優香らと別れた後、美月はゆっくり風呂に入り、リラックス。そしていつも通り次の日の簡単な準備をすましてすやすや寝ていた。そのころ、健太はサ界組が明るい雰囲気なところ、美優宅にいくと、彩音、真帆が頑張っているが、美優は前日よりふさぎ込んでいる様子。話しかけてもちゃんと返事がない。健太が彩音らとどうする?このままだと美優大丈夫か?みたいな会話をしている。ここまでをエピソードにして。

A

日曜日・夕方

――それぞれの時間

美優の家で夕食を囲む予定だった面々だったが、彩音から連絡が入る。

「今日は三人で大丈夫。」
「美優をゆっくり休ませるね。」

健太は少し考えたあと、グループに返信した。

「了解。」
「こっちは練習延長する。」


栞家

「じゃあ今日はそのままもう一周やろう。」

坂井がギターを構える。

「時間あるし、本番用の流れを確認しよう。」

「賛成。」

美月も頷く。

今日は美優宅へ移動しない。

そのぶん、サ界は最後の仕上げに時間を使うことになった。


歌。

ギター。

立ち位置。

橋本の乱入。

ボール回し。

動線。

細かな修正。

「橋本、そこ一歩前。」

「了解!」

「美月、そのあとボール見なくてもいける?」

「たぶん。」

「じゃあやってみる。」

普通に成功。

橋本が笑う。

「やっぱ普通にやるんだな……。」

直人も苦笑する。

「毎回それ言ってる気がする。」

みんな笑った。


一方その頃。

大学では。

ミスコン予選も佳境。


理央

「お願いします!」

「応援してください!」

サークルを回る。

知り合いへ声をかける。

前より自然に話せる。

順位は五位。

しかし。

安心はできない。

「あと一週間……。」

理央は気を抜かなかった。


姫華

写真サークル。

オカルトサークル。

知り合い。

取り巻き。

「今年もよろしくね♡」

「応援してくれたら嬉しい♡」

笑顔。

笑顔。

笑顔。

しかし。

内心では焦っていた。


八木和葉

部屋の玄関。

靴を履く。

ドアを開ける。

外を見る。

少し離れたところ。

また。

見覚えのある男。

(また……。)

心臓が縮む。

玄関を閉める。

出られない。

また今日も。

そう思った。


その時。

スマホが鳴る。

宮脇。

「和葉。」

「今から迎えに行く。」

「え?」

「今日は原田たちもいる。」

「車で行こう。」


十分後。

車が来た。

助手席には宮脇。

後部座席には畠中。

「よ。」

原田が運転席から笑う。

「今日は送迎付き。」

和葉は苦笑した。

「ありがとう……。」


少し離れた場所。

例の男。

車が出ていく。

追えない。

原田がミラー越しに確認する。

「いたな。」

平野が頷く。

「また同じ奴。」

畠中がスマホを見る。

「ナンバー撮っといた。」

「今日も収穫。」


そのまま大学へ。

和葉は予定していた人たちに頭を下げる。

「ごめんなさい。」

「最近いろいろあって……。」

相手は笑う。

「来てくれただけでいいよ。」

「気にしない。」

「ありがとう。」

少しだけ。

和葉の表情が柔らかくなった。


その様子を少し離れた場所から見ていた人物が一人。

白鳥姫華。

(……。)

(なんで。)

(また活動してるの。)

表情は変わらない。

笑顔。

しかし。

心の中だけが苛立っていた。

(全部うまくいかない。)

(どうして。)


栞家

夕方。

練習終了。

「今日はここまで!」

「お疲れー!」

栞母が笑顔で言う。

「今日は晩ご飯も食べていきなさい。」

「やった!」

栞兄が真っ先に反応する。

「今日は豪華ですよ。」

美月もエプロン姿。

「時間あるので。」

「少し手をかけました。」


しばらくして。

食卓いっぱいに料理が並ぶ。

煮込み料理。

焼き魚。

季節野菜の副菜。

サラダ。

炊き込みご飯。

汁物。

デザートまである。

栞兄は目を輝かせた。

「今日すごい。」

「いつも以上じゃん。」

美月は笑う。

「今日は時間ありましたから。」

栞母も笑う。

「私も少し手伝っただけ。」

「ほとんど美月ちゃん。」

坂井が感心する。

「本当に学生か?」

直人も頷く。

「ライブ前なのに一番余裕あるの美月なんだよな。」

「料理まで仕上げるし。」

橋本は夢中で食べている。

「……うま。」

楓花も笑った。

「幸せ。」

栞兄は満足そうに何度も頷いていた。

「毎週来てほしい。」

「それは栞兄さんが太ります。」

美月が真顔で返す。

その一言でまた笑いが起きた。


食後。

それぞれ帰宅。

橋本と楓花は一緒。

坂井。

直人。

それぞれ自宅へ。


美月は。

菜奈美。

優香と三人で歩いていた。

夜風が少し涼しい。

優香が聞く。

「美月ちゃんって。」

「普段休日何してるの?」

「勉強。」

「料理。」

「あとお風呂。」

「寝ます。」

二人が止まる。

「……え?」

「それだけ?」

「はい。」

「本当に?」

「はい。」

優香が笑い出す。

「もっと何かあると思った!」

菜奈美も笑う。

「買い物とか。」

「映画とか。」

「テーマパークとか。」

「ほとんど行かないです。」

「えぇ……。」

美月は首をかしげる。

「お風呂好きなので。」

「長風呂します。」

優香は肩を震わせた。

「なんか。」

「美月ちゃんらしい。」

菜奈美も久しぶりに自然な笑顔になる。

「ほんと。」

「マイペース。」

三人は笑いながら歩いた。


家が近づく。

「じゃあまた。」

「また明日。」

「おやすみ。」

菜奈美と優香が手を振る。

美月も笑顔で振り返した。


帰宅。

荷物を置く。

お風呂。

湯船にゆっくり浸かる。

「あぁ……。」

静かな時間。

今日一日の疲れが溶けていく。

風呂から上がると。

明日の授業の準備。

ノート。

教科書。

バッグ。

全部確認。

「よし。」

布団へ。

数分後には。

もう寝息だけが聞こえていた。


一方、美優の家

夜。

玄関が開く。

健太がやってくる。

「ただいま……じゃないけど。」

彩音が苦笑する。

「おかえり。」

真帆も少し疲れた笑顔だった。

健太は美優を見る。

ソファ。

うつむいたまま。

テレビも見ていない。

話しかけても。

「……うん。」

返事はそれだけ。

昨日より。

明らかに反応が薄い。

健太は小さく息を吐いた。

彩音と真帆を台所へ呼ぶ。

声を落として話す。

「……どう?」

彩音が首を横に振る。

「今日はほとんど喋ってない。」

真帆も続ける。

「外に連れ出したけど……。」

「逆につらいことが重なっちゃって。」

健太は腕を組む。

「このままで大丈夫かな……。」

三人とも黙る。

リビングでは、美優が膝を抱えて静かに座っていた。

笑顔を取り戻した菜奈美とは対照的に、美優は出口の見えないトンネルの中にいるようだった。

三人はすぐに答えを出そうとはせず、まずは「一人にしないこと」だけを共通の約束として、その夜もそばに寄り添い続けることを静かに確認し合った。

I「良いね。月曜になり、1限前にサ界組は早く集まって雑談していた。美月は、菜奈美と優香にモーニングコールを入れて、三人で一緒に通学したようだ笑。そのころ、美月らの周りにも変な男がつけようとしていたようだが、美優父が手配した警備員の影響で、警察に引き渡されていたようだ。朝健太のスマホに、この朝だけで3人引き渡されたことを伝えられる (美月と菜奈美が一緒に行動をしていた影響実あったかもしれない)。美優はほとんど話さず、表情が暗い。健太も美月の作り置きを食べれていないせいか、普段より少し元気がないかもしれない笑。直人らにツッコミを入れられていた笑。

ここで、原田らがやってきて、美優があまりにも元気がないことを指摘する。ミスコンも追い込みだし、何かあったのかと聞く。美優は何も話せず黙り込む。代わりに彩音が大学とかで行動しようとしたけども、美優が陰口とか周りの言葉を気にして、満足に行動できなかったことを伝える。菊池の動画も真に受けてへこんでいるということを伝える。そうすると、原田らはじゃあ動画はどうか?という話をする。動画でなら陰口はないでしょう、と伝える。せっかくだから前の動画の続きで、菊池と美優の対談動画を撮ったら、という話になる。健太らは危なくなったら自分たちが止めることを条件に承諾。菊池と美優の対談動画を撮ることに。

最初に畠中が司会的に、美優に前の動画をどうか、という話をして、菊池君の言う通りだと思う、という話をした。行動しようとしたけど、最下位とかやっても無駄とかそういうことを言われて辛くて行動できなかった、と言いながら泣く。ここで菊池は美優に「川崎さん、本当に勝つ気あるの?」という質問を投げかける。美優は顔を上げてぽかんとしている。菊池は続ける。美優が「待ち」の姿勢しかしていない、と指摘する。前年から人気があって知名度もある楓花や話題性がある美月が近くにいるからそういう人と同じようなペースで進もうとしてるように見える。九条理央や白鳥姫華も関係ない自分のような人がみても努力していることが伝わる。美優は確かにそういう候補と比べると知名度はないし、現在の順位が彼女らより低いのは事実ではあるけど、だから行動しないといけないんじゃないの?という指摘をした。今の美優は、できない言い訳をして逃げているだけだ、という。健太らは美優の顔色を見ながら、気にしている。美優は、はっとしているような感じ。それを指摘されて泣いて、また逃げようとしているようだ。美優は、元気はないけど、菊池にお礼を言い、その通りだと答えた。菊池から、じゃあこれからどうする?と聞く。美優は、わからないけど、頑張る、と答えた。菊池は、気持ちや志だけじゃなくて、具体的にどうするか考えたら?と指摘する。美優はどうしたらよいの?と聞くと、菊池は、それを人にすぐに聞いてしまうのは人任せだと思うし、かりにダメでも、やってみるものじゃないの?という指摘をする。美優は何か考えこむ感じ。

ここで原田らは撮影をカットし、編集し動画を上げていた。(1限中に編集し、動画をアップしていた)笑。美優は前半は考え込むような感じ、授業の後半は寝ていた笑。美優が寝ると、彩音と真帆も緊張の糸が切れたように授業中に寝る笑。健太が三人の寝顔を1限る後に撮影笑。美月は平常運転、理央は次の数学系の授業で、絶対アピールするる、美月に負けないと意気込んでいた。ここまでをエピソードにして。

A

月曜日・朝

――追い込みの一週間、再び始まる

朝。

大学へ向かう学生の流れの中を、美月はいつものように歩いていた。

しかし今日は少し違う。

「おはようございます。」

「おはよう、美月ちゃん!」

朝倉菜奈美。

三木優香。

二人も一緒だった。


「ちゃんと起きられました?」

美月が笑って聞く。

菜奈美が少し照れながら頷く。

「うん。」

「モーニングコールありがとう。」

優香も苦笑する。

「まさか大学生になってモーニングコールされるとは思わなかった。」

美月は首を傾げる。

「寝坊したら大変なので。」

「……。」

「……。」

二人は顔を見合わせる。

「やっぱり美月ちゃんらしい。」

朝から三人は自然に笑っていた。


しかし。

少し離れた場所では。

スーツ姿の男性二人が無線で連絡を取り合っていた。

「対象付近に接近。」

「男性一名。」

「もう一名。」

「さらに後方一名。」

美優の父が手配した警備員たちだった。


十分後。

大学近く。

警察車両。

健太のスマホが震える。

メッセージ。

「今朝だけで不審者3名を警察へ引き渡しました。」

「対象者(橘・朝倉)は安全です。」

健太が目を丸くする。

「……三人?」

橋本も覗き込む。

「三人?」

直人が苦笑した。

「一緒に歩いてたから余計寄ってきたのかもな。」

健太はため息をつく。

「お義父さん……じゃなかった。」

「美優のお父さん、本気すぎる。」

全員苦笑い。


一限前

薬学部。

いつものメンバー。

サ界組は早めに集まり、雑談していた。

坂井はギターケース。

橋本はフットサルバッグ。

美月はいつものバッグ。

栞が笑う。

「今日も朝から元気だね。」

「はい。」

「眠かった?」

「ちゃんと寝ました。」

やっぱりいつも通り。


その一方。

美優。

椅子に座ったまま。

ほとんど喋らない。

視線も下。

彩音と真帆が横についている。

健太も気にしている。

だが。

どこか元気がない。

橋本が笑う。

「健太。」

「今日静かじゃね?」

直人がニヤニヤする。

「どうした。」

「モーニングコール不足?」

橋本が続ける。

「作り置き不足?」

健太が苦笑した。

「……否定できん。」

美月が少し笑う。

「また作るよ。」

健太が真顔になる。

「お願いします。」

「本気で。」

そのやり取りだけはいつもの空気だった。


そこへ。

「おはよー。」

原田。

平野。

畠中。

三人がやって来る。

原田はすぐ美優を見る。

「……。」

「川崎さん。」

「元気なさすぎじゃね?」

返事はない。

彩音が代わりに話し始めた。

「土日……。」

「大学でも動こうとしたんだけど。」

「陰口とか。」

「周りの言葉を気にしちゃって。」

「結局ほとんど何もできなかった。」

真帆も続ける。

「菊池くんの動画も。」

「全部真に受けちゃって……。」

空気が重くなる。


原田が腕を組む。

「じゃあ。」

「動画でやる?」

全員が見る。

「動画?」

「動画ならさ。」

「少なくとも目の前で陰口言われないだろ。」

「前の続き。」

「菊池と対談。」

健太たちは顔を見合わせる。

「危なくなったら止める。」

「それなら。」

「やってみるか。」

美優も小さく頷いた。


撮影開始

畠中が司会役になる。

スマホを向ける。

「今日は前回の続きです。」

「まず。」

「前の動画どうだった?」

美優はゆっくり話し始める。

「……。」

「全部。」

「その通りだと思いました。」

涙がこぼれる。

「行動しようとしました。」

「でも。」

「最下位。」

「やっても無駄。」

「そんな声が聞こえて。」

「怖くて。」

「何もできませんでした。」

泣きながら話す。


ここで。

菊池が口を開く。

「川崎さん。」

「本当に勝つ気あるの?」

教室が静かになる。

美優が顔を上げる。

ぽかんとしている。


菊池は続ける。

「今の川崎さん。」

「待ってるだけに見える。」

「楓花さん。」

「橘さん。」

「九条さん。」

「白鳥さん。」

「みんな立場は違うけど。」

「動いてる。」

「知名度がない。」

「それは事実。」

「でも。」

「だから動かない理由になる?」

「むしろ。」

「動かなきゃいけない立場じゃない?」

美優は何も言えない。


「今の川崎さん。」

「できない理由探して。」

「逃げてるだけに見える。」

健太。

彩音。

真帆。

三人とも美優の表情だけを見ている。

止めるべきか。

迷う。


美優。

涙を拭く。

「……。」

「ありがとうございます。」

「その通りです。」

小さく頭を下げた。


菊池。

さらに聞く。

「じゃあ。」

「これからどうする?」

美優は迷う。

「……。」

「わからない。」

「でも。」

「頑張ります。」

菊池は首を振る。

「気持ちは分かった。」

「でも。」

「具体的には?」

「何するの?」

「それ考えた?」

美優。

困る。

「……。」

「どうしたらいいの?」

菊池は静かに答えた。

「それ。」

「すぐ人に聞くのも。」

「人任せじゃない?」

「失敗しても。」

「まず自分で考えて。」

「やってみたら?」

「その方がいいと思う。」


美優。

何も言わない。

ただ。

真剣に考え始めていた。


「はいカット。」

原田が手を叩く。

「編集する。」

「一限中に上げるわ。」

平野が笑う。

「仕事早いぞ。」

「授業聞け。」

「聞いてる聞いてる。」

もちろん聞いていなかった。


一限

授業開始。

前半。

美優はノートを見つめたまま。

ずっと考えている。

菊池の言葉。

昨日。

順位。

動画。

全部が頭の中を回っていた。


後半。

緊張が切れた。

コクン。

コクン。

寝た。

彩音が横を見る。

安心したように微笑む。

そのまま。

自分も眠る。

真帆も。

「……。」

三人並んで。

静かな寝息。


授業終了。

健太がスマホを取り出す。

パシャ。

三人の寝顔。

橋本が覗く。

「平和だな。」

直人が笑う。

「昨日ほとんど寝てないもんな。」

健太は写真を見ながら小さく笑った。

「今日は。」

「ちゃんと寝られたんだな。」

それだけで少し安心した。


一方。

美月は。

最後までいつも通り。

ノートをまとめ。

授業終了と同時に教科書を閉じる。

変わらない。


理央は静かに拳を握る。

(次。)

(数学。)

(今度こそ。)

(先生にも。)

(みんなにも。)

(美月にも。)

(負けない。)

教室を出るその表情には、次の数学の授業で積極的に発言し、美月にも負けない姿勢を見せようという強い決意が宿っていた。

橘美月シリーズ大学編一覧&ギャラリー等

コメント