OL佐藤由奈さん編_メイキング4_エピソード10、歯車が回る
前回は、由奈が初恋の人を意識し、すれ違ったかも、という場面をつくりました。残り香をたどって地元に帰りたくなるように、弟から結婚したいという相談 (Aの設定を拾います) される話。時期はシルバーウィーク、これで由奈に実家に帰る理由ができました。そして実家への道中を描きます。由奈が犬を飼っていたという設定も拾っておきます。佐藤由奈さん編、前回
I「ここで弟から電話がかかってきた。交際1年弱の恋人と結婚を考えているという相談だった。電話のやりとりの後、由奈は今週末は実家のある地元に向かう(その足で弟とも会う)ことになった。弟とその恋人の設定は、つくってくれた設定を踏襲して。由奈と弟の電話のやりとりを文章で書いて。」
A「いいですね。
では、これまで積み上げた 由奈・弟・弟の恋人の関係性 を踏襲して、
静かで少しあたたかい電話のやりとりを書きます。
焼き菓子を食べ終えた頃、テーブルの上に置いたスマホが震えた。
画面に表示された名前を見て、由奈は一瞬だけ眉を上げる。
「……珍しい」
弟からの電話だった。
通話ボタンを押すと、少し間を置いて声が聞こえてくる。
「姉ちゃん、今いい?」
その声だけで、なんとなく察した。
軽くない話だ。
「うん。今ちょうど家」
「そっか。よかった」
一拍置いて、弟は言った。
「実はさ……」
由奈はソファに背中を預け、足を組み替える。
急かさず、続きを待つ。
「今付き合ってる人と……結婚のこと、考えてて」
由奈は驚いた顔をしながらも、声は落ち着いていた。
「もう、そんな話が出てるんだ」
「まあ……付き合って、もうすぐ一年だし」
弟の声は少し緊張している。
でも迷いきっている感じではない。
「向こうも、同じこと考えてる?」
「うん。ちゃんと話した」
由奈は、無意識に頷いた。
(ああ、ちゃんと進めてるな)
弟の恋人は、由奈が大学時代から知っている人。
派手ではないけれど、自分の考えを持っていて、誠実。
弟と並んでいる姿が、自然に想像できる相手だった。
「それで?」
「親には……そろそろ話そうかなって思ってて」
由奈は小さく息を吐いた。
「うん。それは、いいタイミングだと思う」
「姉ちゃん、そう思う?」
確認するような声。
「思うよ。焦ってる感じもしないし」
「……よかった」
少しだけ、弟の声が軽くなる。
「でもさ、いきなりだと母さん驚くかなって」
「まあ、驚くとは思うけど」
由奈はくすっと笑った。
「でも喜ぶよ。たぶん」
「だよな」
一瞬の沈黙。
「姉ちゃん、今週末、空いてる?」
「うん。連休だし」
由奈はすぐに答えた。
「じゃあ……実家、来ない?」
「行くつもりだったよ、ちょうど」
そう言うと、弟は少し驚いた声を出す。
「ほんと?」
「うん。顔見たほうがいい話でしょ」
由奈はテーブルの上の空になった皿を見つめながら言った。
「その足で、そっちも行くよ」
「ありがとう」
弟は、はっきりした声でそう言った。
「……ちゃんと考えてるんだなって、分かるから」
「姉ちゃんにそう言われると、安心する」
由奈は少しだけ、照れくさそうに笑う。
「じゃあ、詳しい話は週末にね」
「うん。あ、恋人にもそう伝えておく」
「よろしく」
通話が切れる。
スマホを置いた由奈は、しばらくそのまま動かなかった。
弟が結婚を考えていること。
それを自分に最初に相談してきたこと。
胸の奥に、静かなあたたかさが広がる。
「……連休、か」
由奈は立ち上がり、カレンダーを見る。
今週末は、実家。
そして弟と、その恋人。
きっと、にぎやかで、落ち着く時間になる。
今日という一日は、もうちゃんと終わった。
次は、少し先の話。
由奈はそう思いながら、部屋の灯りを少し落とした。」
静かで少しあたたかい電話のやりとりを書きます。
軽くない話だ。
「そっか。よかった」
急かさず、続きを待つ。
「まあ……付き合って、もうすぐ一年だし」
でも迷いきっている感じではない。
「うん。ちゃんと話した」
派手ではないけれど、自分の考えを持っていて、誠実。
弟と並んでいる姿が、自然に想像できる相手だった。
「親には……そろそろ話そうかなって思ってて」
「姉ちゃん、そう思う?」
「……よかった」
「まあ、驚くとは思うけど」
「だよな」
「うん。連休だし」
「行くつもりだったよ、ちょうど」
「うん。顔見たほうがいい話でしょ」
「ありがとう」
「姉ちゃんにそう言われると、安心する」
「うん。あ、恋人にもそう伝えておく」
「よろしく」
それを自分に最初に相談してきたこと。
今週末は、実家。
そして弟と、その恋人。
次は、少し先の話。
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