OL佐藤由奈さん編_メイキング6_エピソード21、友達と会う
前回は、雨の日の仕事の飲み会の話。今回は、友達 (花菜) とカフェで会って話をするエピソードです。気になる異性に会う前に友達と会う会です。
佐藤由奈さん編、前回エピソード/ 由奈のキャラクター設定 /佐藤由奈さん編 (小林花菜)
I「時は進んで、花菜と会う土曜日になった。由奈の私服を考えて、東京の街を歩く由奈を描いて。季節は10月頭くらいだと思うので、それくらいの季節感のある服にして。」
I「これまでの設定を踏まえて、由奈と花菜のカフェでのやりとりを考えてエピソードをかいて」
A
「じゃあ、これまで積み重ねてきた設定を全部踏まえて、
由奈と花菜がカフェで談笑するエピソードを書いてみるね。」
カフェの奥の席。
ガラス越しに入る柔らかい光の中で、由奈と花菜は向かい合って座っていた。
花菜はアイスコーヒーを一口飲んでから、身を乗り出す。
「で? 実家どうだったの?」
由奈はストローを指で軽く回しながら、少し間を置いて答える。
「……まあ、いろいろあったけど、家族は元気だったよ。弟がさ、結婚考えてるんだって」
「え、恒一朗くんだっけ? 早くない?」
花菜は目を丸くして、すぐに笑った。
「でも、なんか想像つくかも。あの子、真面目だもんね」
由奈は小さくうなずく。
「うん。ちゃんと考えてて……私が口出すまでもなく、もう覚悟決めてる感じだった」
花菜はその様子をじっと見てから、少し声を落とす。
「……それで? 由奈は?」
由奈は一瞬、言葉に詰まる。
視線をテーブルの木目に落とし、ぽつりとこぼす。
「わかんないんだよね。
弟の話聞いてたら、自分が何も決めてないことに気づいて……」
花菜はすぐに茶化さない。
そのまま聞く姿勢で、由奈の言葉を待つ。
「地元で、中学の同級生たちにも会ってさ……
昔のままの人もいれば、全然変わった人もいて」
少し間を置いて、由奈は続ける。
「……それで、久しぶりに、昔好きだった人とも会った」
花菜の目が一瞬だけ大きくなる。
「え、なにそれ。重要じゃん」
由奈は苦笑する。
「うん。でも偶然で、ほんの少し話しただけ。
連絡先は交換したけど……まだ、どうなるかわからない」
花菜は椅子の背にもたれて、ふっと息を吐いた。
「そっかぁ……」
それから、少し冗談めかして言う。
「由奈ってさ、そういうとこあるよね。
ちゃんと大事に考えすぎて、動くの遅くなるタイプ」
由奈は否定も肯定もせず、ただ小さく笑う。
「……うん。
でも、焦って何か決めるのも違う気がして」
花菜は頷きながら、自分の指輪のない左手をちらりと見てから言う。
「それでいいと思うよ。
私は早く欲しい派だけどさ、由奈は由奈だし」
そして、少し照れたように笑う。
「正直、由奈がちゃんと悩んでるの、安心した。
ちゃんと自分の人生考えてるんだなって」
由奈はその言葉に、肩の力が少し抜けるのを感じる。
「……ありがとう」
二人はしばらく、他愛もない大学時代の話や、最近の仕事の愚痴を交わす。
笑ったり、ため息をついたりしながら、時間はゆっくり流れていった。
カップの中身が少し減った頃、由奈はふと空を見上げて言う。
「なんかさ、今日は来てよかった」
花菜は即答する。
「でしょ。だから言ったじゃん、話そうって」
二人は顔を見合わせて笑う。
由奈の中で、まだ答えは出ていない。
けれど、少なくとも今は――
ひとりじゃない、
そう思える時間だった。
I「この後、花菜が最近はまっているからと、二人でボルダリングをしにいった。ボルダリングをする由奈を描いて。靴はレンタルした。由奈は難易度の低い初心者~初級者向けのコースをのぼる。」
I「そして落下してクッションに落ちる由奈を描いて。」
I「そして上半身を少し起して笑顔で振り向く」
I「椅子に座り、ペットボトルのお茶を飲みながら休憩する由奈」
I「花菜視点から見た由奈を書いて。ボルダリングにつれていったのは、由奈の心の揺れを察したからみたい。」
A
花菜の視点で見た由奈は、昔からあまり変わらない部分と、この数年で確実に変わった部分が、ちょうど同時に目に入ってくる存在だった。
大学の頃から由奈は、感情を大きく振り回すタイプじゃない。
何かあっても、まず一度飲み込んで、外に出さずに自分の中で整理しようとする。
その分、周りから見ると「大丈夫そう」に見えてしまうし、本人もそれを否定しない。
花菜はその癖をよく知っているから、今回久しぶりに会った瞬間、
「元気そうだけど、完全に元気じゃないな」
と、なんとなく分かった。
カフェで話しているときもそうだった。
笑顔はちゃんとあるし、相槌もいつも通り丁寧。
でも、話題が少し途切れた瞬間に、ふっと視線が遠くにいく。
口が少し開いたまま、考え事をしているあの癖。
あれが出ているときの由奈は、だいたい何かを一人で抱えている。
だから花菜は、ボルダリングに誘った。
深い理由を説明する必要もないし、「元気出しなよ」なんて言葉も似合わない。
ただ、体を動かして、今この瞬間に集中する時間を作りたかった。
由奈は断らないだろうし、きっと嫌いじゃないとも思った。
実際、壁を登っている由奈は分かりやすかった。
最初は慎重で、ホールドを一つ一つ確かめながら進む。
無理をしないし、勢い任せにもならない。
でも、落ちたあとにクッションの上で笑いながら振り返る顔を見て、花菜は少し安心した。
「あ、ちゃんと楽しんでるな」
と。
休憩中、椅子に座ってお茶を飲む由奈は、少しだけ肩の力が抜けていた。
大きな悩みを全部吐き出すわけじゃないけれど、
「今は考えすぎてるな」
という状態から、一歩だけ外に出られた感じ。
花菜から見る由奈は、
強くもないし、弱すぎもしない。
自分のペースで生きようとする真面目さと、
周りに流されない不器用さを、ずっと持っている人だ。
だからこそ、花菜は思っている。
由奈は、ちゃんと自分で答えを見つける。
今は揺れているだけで、壊れているわけじゃない。
ボルダリングに連れてきたのも、答えを出させるためじゃない。
ただ、由奈が「自分の足で立っている感覚」を思い出す時間を、少し共有したかっただけだ。
花菜にとって由奈は、
守るべき存在でも、放っておけない存在でもなく、
「信じて待てる友達」だった。
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