OL佐藤由奈さん26_だから花菜は、ボルダリングに誘った。

OL佐藤由奈さん編_メイキング6_エピソード21、友達と会う

前回は、雨の日の仕事の飲み会の話。今回は、友達 (花菜) とカフェで会って話をするエピソードです。気になる異性に会う前に友達と会う会です。

佐藤由奈さん編、前回エピソード由奈のキャラクター設定 /佐藤由奈さん編 (小林花菜)

I「時は進んで、花菜と会う土曜日になった。由奈の私服を考えて、東京の街を歩く由奈を描いて。季節は10月頭くらいだと思うので、それくらいの季節感のある服にして。」

I「これまでの設定を踏まえて、由奈と花菜のカフェでのやりとりを考えてエピソードをかいて」

花菜と二人が並んだ画像はこちら。佐藤由奈さん編 (小林花菜)

A

「じゃあ、これまで積み重ねてきた設定を全部踏まえて、
由奈と花菜がカフェで談笑するエピソードを書いてみるね。」


カフェの奥の席。
ガラス越しに入る柔らかい光の中で、由奈と花菜は向かい合って座っていた。

花菜はアイスコーヒーを一口飲んでから、身を乗り出す。

「で? 実家どうだったの?」

由奈はストローを指で軽く回しながら、少し間を置いて答える。

「……まあ、いろいろあったけど、家族は元気だったよ。弟がさ、結婚考えてるんだって」

「え、恒一朗くんだっけ? 早くない?」

花菜は目を丸くして、すぐに笑った。

「でも、なんか想像つくかも。あの子、真面目だもんね」

由奈は小さくうなずく。

「うん。ちゃんと考えてて……私が口出すまでもなく、もう覚悟決めてる感じだった」

花菜はその様子をじっと見てから、少し声を落とす。

「……それで? 由奈は?」

由奈は一瞬、言葉に詰まる。
視線をテーブルの木目に落とし、ぽつりとこぼす。

「わかんないんだよね。
 弟の話聞いてたら、自分が何も決めてないことに気づいて……」

花菜はすぐに茶化さない。
そのまま聞く姿勢で、由奈の言葉を待つ。

「地元で、中学の同級生たちにも会ってさ……
 昔のままの人もいれば、全然変わった人もいて」

少し間を置いて、由奈は続ける。

「……それで、久しぶりに、昔好きだった人とも会った」

花菜の目が一瞬だけ大きくなる。

「え、なにそれ。重要じゃん」

由奈は苦笑する。

「うん。でも偶然で、ほんの少し話しただけ。
 連絡先は交換したけど……まだ、どうなるかわからない」

花菜は椅子の背にもたれて、ふっと息を吐いた。

「そっかぁ……」

それから、少し冗談めかして言う。

「由奈ってさ、そういうとこあるよね。
 ちゃんと大事に考えすぎて、動くの遅くなるタイプ」

由奈は否定も肯定もせず、ただ小さく笑う。

「……うん。
 でも、焦って何か決めるのも違う気がして」

花菜は頷きながら、自分の指輪のない左手をちらりと見てから言う。

「それでいいと思うよ。
 私は早く欲しい派だけどさ、由奈は由奈だし」

そして、少し照れたように笑う。

「正直、由奈がちゃんと悩んでるの、安心した。
 ちゃんと自分の人生考えてるんだなって」

由奈はその言葉に、肩の力が少し抜けるのを感じる。

「……ありがとう」

二人はしばらく、他愛もない大学時代の話や、最近の仕事の愚痴を交わす。
笑ったり、ため息をついたりしながら、時間はゆっくり流れていった。

カップの中身が少し減った頃、由奈はふと空を見上げて言う。

「なんかさ、今日は来てよかった」

花菜は即答する。

「でしょ。だから言ったじゃん、話そうって」

二人は顔を見合わせて笑う。
由奈の中で、まだ答えは出ていない。
けれど、少なくとも今は――

ひとりじゃない
そう思える時間だった。

I「この後、花菜が最近はまっているからと、二人でボルダリングをしにいった。ボルダリングをする由奈を描いて。靴はレンタルした。由奈は難易度の低い初心者~初級者向けのコースをのぼる。」

I「そして落下してクッションに落ちる由奈を描いて。」

I「そして上半身を少し起して笑顔で振り向く」

I「椅子に座り、ペットボトルのお茶を飲みながら休憩する由奈」

I「花菜視点から見た由奈を書いて。ボルダリングにつれていったのは、由奈の心の揺れを察したからみたい。」

A

花菜の視点で見た由奈は、昔からあまり変わらない部分と、この数年で確実に変わった部分が、ちょうど同時に目に入ってくる存在だった。

大学の頃から由奈は、感情を大きく振り回すタイプじゃない。
何かあっても、まず一度飲み込んで、外に出さずに自分の中で整理しようとする。
その分、周りから見ると「大丈夫そう」に見えてしまうし、本人もそれを否定しない。
花菜はその癖をよく知っているから、今回久しぶりに会った瞬間、
「元気そうだけど、完全に元気じゃないな」
と、なんとなく分かった。

カフェで話しているときもそうだった。
笑顔はちゃんとあるし、相槌もいつも通り丁寧。
でも、話題が少し途切れた瞬間に、ふっと視線が遠くにいく。
口が少し開いたまま、考え事をしているあの癖。
あれが出ているときの由奈は、だいたい何かを一人で抱えている。

だから花菜は、ボルダリングに誘った。
深い理由を説明する必要もないし、「元気出しなよ」なんて言葉も似合わない。
ただ、体を動かして、今この瞬間に集中する時間を作りたかった。
由奈は断らないだろうし、きっと嫌いじゃないとも思った。

実際、壁を登っている由奈は分かりやすかった。
最初は慎重で、ホールドを一つ一つ確かめながら進む。
無理をしないし、勢い任せにもならない。
でも、落ちたあとにクッションの上で笑いながら振り返る顔を見て、花菜は少し安心した。
「あ、ちゃんと楽しんでるな」
と。

休憩中、椅子に座ってお茶を飲む由奈は、少しだけ肩の力が抜けていた。
大きな悩みを全部吐き出すわけじゃないけれど、
「今は考えすぎてるな」
という状態から、一歩だけ外に出られた感じ。

花菜から見る由奈は、
強くもないし、弱すぎもしない。
自分のペースで生きようとする真面目さと、
周りに流されない不器用さを、ずっと持っている人だ。

だからこそ、花菜は思っている。
由奈は、ちゃんと自分で答えを見つける。
今は揺れているだけで、壊れているわけじゃない。

ボルダリングに連れてきたのも、答えを出させるためじゃない。
ただ、由奈が「自分の足で立っている感覚」を思い出す時間を、少し共有したかっただけだ。

花菜にとって由奈は、
守るべき存在でも、放っておけない存在でもなく、
「信じて待てる友達」だった。

I ((心の声))

今回は、由奈が友達に会う会で、初恋の人と会う前のクッション回でした。由奈がゆっくりさんなので、友達を使って後々話を動かす伏線でもあり、友達の目線で由奈の心の動きを描くみたいなイメージでした。佐藤由奈編、次回

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