OL佐藤由奈さん29_「……また、話そうね、って言ってたし……」

OL佐藤由奈さん編_メイキング6_エピソード24、まだ名前のつかない、続きの予感

前回は、デート回になります。デートが終わり、由奈は何を思うのか。やっぱり揺れるので、そういう部分を描いていければと思います笑。

佐藤由奈さん編、前回エピソード由奈のキャラクター設定

I「このエピソードの「電車に揺られながら、窓に映る自分の顔を見る。」由奈を描いて。表情はエピソードを踏まえて。時間は夜だろうね。」

I「帰り道の由奈の気持ちを書いて。家に向かうエピソードとして。」

A

(……終わったんだ)

そう思うと、ほっとしたような、でもどこか名残惜しいような、不思議な気持ちが胸に残った。
特別なことは何も起きていない。
告白もなければ、約束を重ねたわけでもない。
ただ、同じ時間に同じものを食べて、少し話して、別れただけ。

それでも――
由奈は、さっきまでいた定食屋の灯りを思い出す。

焼き魚の湯気。
会話の合間の沈黙。
自分が慌てて口元を拭いたときの、あの一瞬。

(見られた……よね)

恥ずかしさが今さらじわっと込み上げてきて、思わず頬を押さえる。
でも同時に、恒一の反応を思い返す。
特別なことは言われなかった。
からかわれることも、気まずくされることもなかった。

(……気にしてない、んだよね)

その事実が、少しだけ救いだった。

電車に揺られながら、窓に映る自分の顔を見る。
いつもと変わらないはずなのに、目だけが少し落ち着かない。
でも、嫌な感じではない。

(また話そう、か)

社交辞令かもしれない。
でも、あの言葉があっただけで、今日が「何もなかった日」ではなくなった気がする。

家の最寄り駅に着き、改札を抜ける。
夜の住宅街は静かで、遠くで犬の鳴く声がした。

鍵を取り出しながら、由奈は小さく思う。

(急がなくていい、のかも)

答えを出す必要はない。
何かを決めなくてもいい。
今日はただ、ちゃんと家に帰って、眠ればいい。

玄関のドアを閉めた瞬間、
由奈はもう一度だけ、深く息を吐いた。

その胸の奥には、

不安と一緒に、ほんの小さな、あたたかい灯りが残っていた。

I「この後、家に着いた後の由奈のエピソードを考えてみて。誰かに電話したりとか、スイーツを食べたりするだろうか?あるいは誰かから電話がかかってきたりするだろうか?考えてみて。この時点では恒一からは次の約束はしてなく、由奈からもそういう連絡をまだしていないもよだれのとする。よだれの件は由奈はまだ引きずっていると思う。書いてみて。」

A

家に着いて玄関の鍵を閉めた瞬間、由奈はようやく大きく息を吐いた。
靴を脱いで、いつもの位置に鞄を置く。その一連の動作が、少しだけぎこちない。

「……つかれた……」

口に出してみて、ようやく実感が追いつく。
楽しかった、と思う。会話は途切れ途切れだったし、沈黙も多かった。でも、嫌ではなかった。むしろ、あの静かな感じは心地よかった。

ただ——。

洗面所に行って、無意識に鏡を見てしまう。
そこに映る自分の口元を見た瞬間、胸の奥がきゅっと縮んだ。

「……よりによって、なんであれなの……」

定食屋でのことが、どうしても頭から離れない。
気づかないふりをしていたけれど、確かに恒一は見ていた。
気にしていない、そう分かっていても、自分の中では「なかったこと」にはならない。

部屋着に着替えてソファに座ると、スマホを手に取る。
通知は、ない。恒一からも、誰からも。

一瞬、花菜に電話しようかと思う。
「今日どうだった?」と聞かれたら、きっと全部話してしまう気がする。
でも、今は言葉にすると余計に恥ずかしくなりそうで、画面を伏せてテーブルに置いた。

代わりに、冷蔵庫から小さなヨーグルトを出す。
甘いものをがっつり食べる気分でもない。スイーツで気持ちを切り替えるには、今日は少しだけ気持ちが揺れている。

スプーンを口に運びながら、ぼんやり天井を見上げる。

「……また、話そうね、って言ってたし……」

社交辞令かもしれない。
でも、完全な終わりでもなかったはずだ。

そう思おうとして、すぐに思考がよだれの記憶に引き戻される。
一人で苦笑して、ヨーグルトの蓋を閉じた。

シャワーを浴びて、髪を乾かして、布団に入る。
スマホは枕元に置いたまま、画面は伏せている。
今日はもう、見ないと決めた。

布団の中で丸くなりながら、由奈は小さくつぶやく。

「……次、もし会うなら……ちゃんと口、閉じよう……」

自分でも可笑しくなって、少しだけ笑ったあと、
そのまま静かに目を閉じた。

胸の奥に残るのは、恥ずかしさと、わずかな安心感と、
まだ名前のつかない、続きの予感だった。

I「このエピソードの「冷蔵庫から小さなヨーグルトを出して、そのヨーグルトを食べる由奈」を描いて」

I「由奈を描いて「風呂に入り、髪をとかした後、部屋着に着換えて、布団で寝る由奈。次、もし会うなら……ちゃんと口、閉じようと思ったが、今がっつり口を開けて寝ている。これは無意識。手は少なくとも片手は布団の外にでていて、肩より高い位置にあがっている」」

I「エピソードを考えて「朝起きて目を覚ます由奈。ますはうとうとしてぼんやりする由奈。昨日の件があったそばから、おきたら今朝もがっつりよだれをたらしたようで、口元と枕には今日もよだれの跡。はっとして、布団をでて顔を洗う。かえってスマホをみると、恒一から、きのうはありがとうございました。楽しかったです。また話しましょうと短いメッセージが入っていた。これに返信する由奈。」」

A

――朝。

目は開いているのに、意識はまだ布団の奥に沈んだまま。
由奈は仰向けのまま、天井をぼんやり見つめていた。

(……朝、だ)

体は重い。夢の続きを探すみたいに、しばらく瞬きだけを繰り返す。
ふと違和感があって、視線を落とした。

――あ。

枕の端に、はっきり残った濡れた跡。
口元も、少し冷たい。

「……また、やってる」

昨日あれだけ「次はちゃんと口閉じよう」って思ったのに。
思わず眉をひそめて、勢いよく布団をはねのける。

顔を洗いに行く途中、まだ少しふらつきながら、洗面所の鏡に映る自分を見た。
寝起きの顔。目は半分、髪は跳ねて、口元には水で流してもすぐ消えない“証拠”。

「……はぁ」

冷たい水で顔を洗うと、ようやく頭がはっきりしてきた。

部屋に戻り、スマホを手に取る。
通知は一件。

画面を見た瞬間、心臓が小さく跳ねた。

――高橋恒一
《きのうはありがとうございました。楽しかったです。また話しましょう。》

短い、でも丁寧な文章。
事務的とも言えるのに、不思議と温度がある。

由奈は、しばらくその画面を見つめたまま動かなかった。

(……見てた、よね。あれ)
(でも、それでも……楽しかった、って)

指先が少しだけ震える。
深呼吸して、画面に文字を打ち始めた。

《こちらこそ、ありがとうございました。
 久しぶりで緊張しましたけど、楽しかったです。
 また、ぜひ》

送信。

画面が静かになってから、由奈はふっと息を吐いた。

「……よし」

昨日のことは、もう消せない。
でも、今朝は今朝。

洗い立ての顔に、少しだけ力が戻る。
由奈はカーテンを少し開けて、朝の光を部屋に入れた。

(ちゃんと、続いてる)

そう思えただけで、今日の朝は少しだけ、軽かった。

I「このエピソードの由奈を描いて「由奈は、しばらくその画面を見つめたまま動かなかった。」」

I「続いてこのエピソードの「由奈はカーテンを少し開けて、朝の光を部屋に入れた。」の由奈を描いて。10月頭。今朝の天気は快晴。気持ちの良い天気。」

I ((心の声))

今回は、ようやくデート回後のIの意地悪にさらに追い打ちをかけて由奈に引きずってもらいながらも、返事はちゃんと来る、という感じで由奈の心を振り回す方向で展開しました笑。そして少し腫れた気分で生活にもどり、仕事回へ。

次回:打ち合わせ ――「由奈が前に出る時間」

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