橘美月シリーズ大学編_#29「土曜日、大渋滞」金曜日・夕方 美優の部屋 ― 壮行会

橘美月シリーズは女子会もので、美月さんが大学生 (アップしている段階で阪大・薬・4年) の設定なので、本編とは別に美月さんの友達を作り、大学側も絡められるようにしておきましょう。メイド服などのありそうな服はメインモデルたちはある程度着てしまったので、サブのモデルを追加する意図があります笑

前回:「……ミスコン?」「学園祭は音楽の方出る予定だけど。」

I「橘美月×寝顔×超接写。プロンプトはこちら

I「良いね。木曜になり、問題の数学系の授業の時間になる。出席を兼ねて、学生を呼びながら、テストが返却される。得点が一目でわからないように、表紙に全体の得点分布のプリントがついていて、誰が何位くらいかを逆算できる状態だった。100点は二人。0点は4人。全体の平均は40点ぐらいだったようで、担当の教授は一部非常に頑張っている学生がいて、それは評価している、しかし全体をみれば努力が足りない、みたいな感想。点をとれている人とそうでない人の差が大きいのは不満みたい笑 

ちなみに、これまで登場した薬学部の1年の得点はこういう感じ。

橘 美月→100

田中 栞→72

小川 彩音→5

中条 真帆→2

川崎 美優→0

健太→56

橋本 陸→54

坂井 恒一→84

藤崎 直人→64

九条理央→58

七沢葵→2

工藤→97 (3位)

林→12

宮脇→40

畠中→18

原田→0

平野→4

菊池→90

テストを受け取り、理央は自分の得点をみて、悔しそうな表情。近くの席の工藤の得点を見て、更に悔しそうなのとともに、更に上に二人いることを意識。畠中、原田、平野らは自分達の得点の話をして笑い話にしている笑。

美優は、落ち込みはするものの、むしろ最下位が自分ひとりではないことに安堵というか、それで多少ましなよう。理央は横から聞こえる雑談で、美月が100点なのを知り、ものすごく悔しそうな表情になる。悔しいので授業後、この成績がどれくらい成績に反映されるか、とかどういう風に勉強すればよい、みたいな質問を担当教員に聞いていて、この点が100%反映されず、ある程度差を小さくして期末試験との合計で決まること (詳細は言えないが、期末で頑張ればある程度挽回可能だ、的な感じ)、勉強方法のアドバイスなどを伝える (教員には理央のこの姿勢は好印象だった笑)。これを元にエピソードをつくって。

A

木曜日・2限

数学系講義 ― 抜き打ちテスト返却

教室に担当教授が入ってくる。

いつも通り厳しい表情。

教室も自然と静かになった。


「今日は先週実施した小テストを返却します。」

教卓の上には答案の束。

その一枚一枚には、

点数が見えないように表紙が付いている。

その表紙には──

得点分布表。

学生たちはまずそこへ目がいった。


教授は淡々と説明する。

「今回は全体平均がおよそ40点。」

教室がざわつく。

「100点が2名。」

さらにざわつく。

「97点が1名。」

「90点が1名。」

「0点が4名。」

今度は別の意味でざわついた。

教授はため息をつく。

「一部の学生は非常によく勉強しています。」

「そこは高く評価します。」

「しかし。」

教室を見回す。

「全体を見ると努力不足です。」

「点数の高い学生と低い学生の差が大きすぎる。」

「私はそこが不満です。」

「平均点だけを見れば普通ですが、中身を見ると二極化しています。」

教室は静まり返った。


答案返却

出席を兼ねて、

名前が一人ずつ呼ばれる。


「橘さん。」

「はい。」

美月が答案を受け取る。

そのまま席へ戻る。

特に表情は変わらない。


「田中さん。」

栞。


「小川さん。」

彩音。


「中条さん。」

真帆。


「川崎さん。」

美優。


順番に返ってくる。


美優は、

恐る恐る表紙をめくる。


0点。


昨日なら。

また泣いていたかもしれない。

でも。

まず見たのは分布表。


(0点……4人。)


(私だけじゃない。)


不思議だった。

もちろん嬉しくはない。

それでも、

「自分だけが最下位じゃない」

という事実が、

ほんの少しだけ心を軽くした。


(……少しだけ。)


理央

理央も答案を開く。


58点。


(……。)

悪くない。

平均よりかなり上。

しかし。

分布表を見る。


100

100

97

90

84

……


(上がいる。)


隣。

工藤。


工藤も答案を開いていた。


97点。


工藤は

「思ったより取れたな。」

程度の反応。

理央は横目で見て、

ぐっと唇を噛む。


(工藤でも97。)


(その上に二人。)


(100点が二人。)


その事実だけで、

悔しさが込み上げる。


一方

後ろの方。


畠中。

「18!」


原田。

「0(笑)」


平野。

「4!」


「俺ら終わってる(笑)」


「飯おごれ(笑)」


「原田0やん(笑)」


「いやお前4やろ(笑)」


三人は笑い話にしていた。

教授がちらっと見る。


「静かに。」


「すみません。」


また笑いをこらえる三人。


美月100点が伝わる

授業の合間。

橋本が小声で聞く。

「美月どうやった?」


美月。

「100。」


「マジ?」


健太。

「やっぱり。」


坂井。

「すご。」


栞も笑う。

「おめでとう。」


美月。

「ありがとう。」


いつも通り。


その会話が、

理央の耳に入る。


(100。)


(やっぱり。)


(橘さん……。)


理央は悔しそうに机を見る。


(負けた。)


授業終了

講義が終わる。

学生たちが帰り始める。


理央だけは動かなかった。


教卓へ向かう。


「先生。」


教授が顔を上げる。

「どうしました。」


理央は真剣だった。


「今回のテストは。」


「成績にどの程度反映されますか。」


教授は少し考える。


「細かい配点は公表できません。」


「ですが。」


「これだけで成績が決まるわけではありません。」


「期末試験。」


「レポート。」


「平常点。」


「それらを総合して評価します。」


「今回差が付いても。」


「期末で十分挽回できます。」


理央は真剣にメモを取る。


「ありがとうございます。」


さらに聞く。


「勉強方法について伺ってもよろしいでしょうか。」


教授は少し笑った。


「もちろん。」


「九条さんは理解はできています。」


「ただ。」


「計算途中で急いでいますね。」


「途中式をもう少し丁寧に。」


「あと。」


「証明問題は解答を書く前に一度全体を書き出して整理するといいでしょう。」


理央は頷く。


「ありがとうございます。」


「次はもっと取ります。」


教授も頷く。


「その姿勢は良いですね。」


「頑張ってください。」


理央は一礼して教室を出た。


その後ろ姿を、

工藤が少し離れた場所から見ていた。


(九条さん。)


(負けず嫌いなんだな。)


そして教授も、

答案をまとめながら小さく呟く。


「……競争心は悪くない。」


「努力する学生は伸びる。」


今回の58点に満足していない理央の姿勢は、

担当教授の目には素直に学ぼうとする学生として映っていた。

それは点数とは別の意味で、

確かな評価につながり始めていた。

I「良いね。昼休憩、いつもの面々で学食に食べにいくと、学際実行委員会の山崎 (経済・3年、男性) が林とともに美月らのところにやってきた。皆は2限の話をうけて雑談中。どうやら、ミスコンの話らしい笑。林も実行委員会の一人で、美優と美月は知っているからなのと、ちょうど学食でばったり会ったから、そのまま話をしよう、ということになったらしい笑。まず美優に出場の意思確認をされ、美優は声は小さいけど、確かに出ます、と答える。みんな応援するような感じの雰囲気。美月に、山崎から意思確認をされ、美月は音楽系の方にでるから出れないと思います、と断る雰囲気。山崎は、美月が薬学部の首席 (前期)という事実と、CM出場を加味して、その場になくてもよいから、イベントを盛り上げるために名前を使わせてみたいな感じで食い下がる。参考記録みたいな感じで扱うとか、予選の段階で出すとか、そういう形を提案。美月は、それくらいなら、良いですよ、みたいな感じ。特に気にしてなさそう笑。美優はその話をきいて下を向いているが、彩音と真帆に話しかけられ、気をそらされる笑。その後林が理央に電話して、美月のミスコンエントリー確定の連絡を電話する笑。理央は電話越しに林に絶対勝つ、と宣言笑。それを葵らいつもの面々が苦笑い笑。葵らはいつものカフェで食事中だった笑。これを元にエピソードをつくって。

A

木曜日・昼休み

学食

2限の数学を終えた薬学部一年生たち。

「いやー、やっぱ難しかったな。」

健太がトレーを持ちながら笑う。

「半分くらい取れてたら御の字や。」

橋本も頷く。

「思ったより平均低かったな。」

坂井が分布表を思い返す。

「100点が二人ってのは凄いけど。」

彩音は苦笑した。

「私は5点だから笑うしかない。」

真帆。

「私は2点。」

「勝った。」

「何で勝負してんの(笑)」

少しだけ笑いが起きる。

その横では、

美優も静かに食事を口へ運んでいた。

昨日ほどではない。

まだ元気はないが、

皆と一緒に学食へ来られたこと自体が一歩前進だった。


「あ、いた」

そこへ二人の男子学生が近付いてくる。

一人はスーツっぽいジャケット姿。

もう一人は見慣れた顔。

「山崎先輩。」

健太が声を掛ける。

「お疲れ。」

山崎(経済学部3年)。

学園祭実行委員会所属。

隣には林。

林も実行委員会に所属している。

林が笑う。

「学食来たら偶然見つけた。」

「ちょうどいいから話しに来た。」


ミスコンの確認

山崎はまず美優を見る。

「川崎さん。」

美優が顔を上げる。

「はい……。」

山崎は柔らかく笑う。

「ミスコン。」

「正式な意思確認だけ。」

「出場で大丈夫?」

美優は少し緊張した。

昨日なら答えられなかったかもしれない。

しかし。

小さい声で、

それでもはっきりと言った。

「……出ます。」

山崎は頷いた。

「ありがとう。」

「よろしく。」

その瞬間。

健太。

「おー!」

彩音。

「頑張れ!」

真帆。

「応援する。」

栞も微笑む。

「応援してる。」

橋本も。

「楽しみにしてる。」

直人も親指を立てた。

「頑張れ。」

美優は照れくさそうに、

小さく笑った。

昨日より、

ほんの少しだけ自然な笑顔だった。


本命はもう一人

山崎が今度は美月を見る。

「橘さん。」

「はい。」

「ミスコンなんだけど。」

美月。

「あ。」

「それ。」

「たぶん出られないです。」

山崎。

「え?」

「音楽ステージ。」

「そっち出る予定なので。」

「時間かぶると思います。」

本当に事務的な返答だった。


山崎は苦笑する。

「そこなんだよ。」

「実は。」

「委員会でも結構話題になってて。」

美月は首を傾げる。

「?」

山崎は説明する。

「前期首席。」

「CM出演。」

「薬学部。」

「この三つだけでも十分話題性がある。」

林も頷く。

「実行委員としては。」

「できれば名前を使わせてもらいたい。」

美月。

「名前?」

「例えば。」

山崎は資料を見せながら説明する。

「正式参加じゃなくてもいい。」

「参考参加。」

「ゲスト枠。」

「予選だけ。」

「そんな形でも。」

「学園祭全体が盛り上がる。」


美月は数秒考える。

「……。」

そして、

本当にあっさり答えた。

「それくらいなら。」

「大丈夫ですよ。」

「え。」

山崎が一瞬固まる。

「いいの?」

「はい。」

「音楽に支障が出なければ。」

「大丈夫です。」

「……。」

山崎と林は顔を見合わせた。

(思ったより話が早い。)


美優

その会話を聞きながら。

美優はまた俯いていた。

(また。)

(選ばれてる。)

(私は。)

(頑張って応募した。)

(美月は。)

(お願いされて。)

(自然に。)

胸が少し苦しくなる。


その空気を察して、

彩音がすぐ話しかける。

「そういや。」

「土曜日リハやんな?」

真帆も乗る。

「見に行きたい。」

美優の意識を、

別へ向ける。

美優も少し顔を上げた。

「……うん。」

完全ではない。

でも。

さっきよりは落ち着いていた。


山崎たちは去る

「ありがとう。」

山崎は立ち上がる。

「正式な連絡はまた送る。」

「よろしく。」

「はい。」

美月は普通に返事をした。


その直後

学食を出ながら。

林がスマホを取り出す。

「ちょっと電話。」

山崎が笑う。

「九条さん?」

「うん。」

コール。

数秒後。

「もしもし?」

理央だった。


「九条さん。」

「決まった。」

「橘さん。」

「ミスコン出る。」

電話の向こう。

数秒沈黙。

そして。

「……。」

理央がゆっくり答える。

「分かった。」

「なら。」

「絶対勝つ。」

「負けない。」

林は苦笑した。

「いや。」

「そんな宣言されても(笑)」

「本気だから。」

電話はそこで切れた。


一方

大学近く。

いつものカフェ。

理央。

葵。

千佳。

真奈美。

愛里。

五人で昼食中。

林との電話を切った理央が、

静かにスマホを置く。

葵が聞く。

「どうやった?」

理央。

「橘さん。」

「出る。」

愛里。

「あー。」

真奈美も苦笑する。

千佳。

「やっぱり。」

理央は真っ直ぐ前を見る。

「参考参加でも。」

「ゲストでも。」

「関係ない。」

「同じ舞台なら。」

「私は勝つ。」

その宣言に、

四人は顔を見合わせる。

葵が苦笑した。

「理央。」

「完全にスイッチ入ったな。」

理央は小さく笑う。

「うん。」

「今回は本気。」

一方の葵はコーヒーを飲みながら心の中で思う。

(橘さんは。)

(たぶん。)

(勝負してるつもり、全然ないんやろな……。)

だからこそ。

理央との温度差は、

ますます大きくなっていくのだった。

I「良いね。どうやら土曜がいろんな人に大きなイベントが重なるみたい。美月たちは、土曜が予選的な会。なおユニット名は「サ界」になった笑。理由は、あくまで坂井が中心であることを示すためで、美月とかに埋もれさせない的な意図で健太とか直人が中心で決めた笑。ちなみに、橋本はパフォーマーとしてフットサルサークルのユニフォームで間奏部分に乱入することになっている笑(イケメンパフォーマー枠であり、フットサルサークル側もPRもかねて笑)。

理央たちは、土曜の音楽企画の予選会に美月たちがどんなものか見るために行くことになった。(情報元は実行委員の千佳)。理央はまだ美月の歌を聞いたことがないので、どんなものかまだ知らない。理央的には偵察とか敵情視察笑。

また、土曜は美優は隆とちゃんとしたデートをする日。実は土曜に向けて、健太たちは壮行会みたいな感じで美優の部屋でみんなで食べる (美優の影響でこの1週間はみんなで美優の部屋で食べることになるが)。ことになっている。健太は、美優の父とメッセージのやり取りを続けており、美優の写真やみんなで一緒にいる写真、料理の写真を共有しながら、少しでも元気になってもらえればと、美優の好きな食べ物を父に聞いて、美月がそれを実際に料理にし、その写真を共有していた。美優の父はクオリティが学生場慣れしていることに驚きつつ、健太との会話の中で、「橘美月」が料理をつくっていることを共有され、そういえば瀬川が興味をもっていた美優と同級生の学生がそうだったなと思い出し、瀬川に共有する笑。その結果、瀬川が食べてみたい、お忍びで参加できないか (部屋も広いし) と提案し、美優の両親も一度食べてきたくなったので、ゲストを伴って美優の両親が金曜に来る、ということになった笑。美優の両親らは、美月らとは別の部屋で、食べることになっている。美優の父はその旨を健太に共有し、美月に話すと美月は快諾、美優の父は気合をいれて良い食材をもってくる、ということでいろんな種類の食材をそろえ、美月はそれを元にレシピを考えて料理することになった笑。なお、今回のメニューにエビフライが含まれるようだ笑。ここまでをエピソードにしてみて。時系列では最終的に金曜の夜になるくらいの感じ (美優の家の会)で。

A

火曜日~木曜日

「土曜日、大渋滞」

火曜日以降。

それぞれが土曜日へ向けて動き始めていた。

そして気付けば、

土曜日だけ予定が異様に詰まっていた。


土曜日の予定

① 音楽企画予選(学園祭)

出演:
ユニット『サ界

メンバー

  • メインボーカル:橘美月
  • ギター・サブボーカル・リーダー:坂井
  • キーボード:栞
  • カホン:直人
  • MC:健太
  • コーラス:彩音・真帆

そして……


橋本。

「俺も出る。」

健太が笑う。

「お前楽器できんやろ。」

橋本。

「間奏だけ。」

「フットサルサークルの宣伝。」

坂井。

「いや意味分からん(笑)」

実は。

フットサルサークル側も学園祭でPRしたい。

そこで、

間奏で橋本がユニフォーム姿で乱入。

リフティング。

ボールコントロール。

最後は健太との掛け合い。

完全に

イケメンパフォーマー枠である。

健太。

「これ絶対ウケる。」

坂井。

「曲より目立つな(笑)」

橋本。

「怒られたら帰る。」

(笑)


ユニット名

ある日の練習後。

健太が言った。

「名前決めよ。」

候補はいろいろ出た。

しかし。

最終的に決まったのは。


『サ界』


美月。

「……。」

「どういう意味?」

健太。

「坂井の『サ』。」

「世界の『界』。」

直人。

「坂井が中心。」

「坂井が作った企画やから。」

「美月が目立ちすぎると坂井埋もれる。」

坂井。

「いや別にそこまで……。」

健太。

「リーダーは坂井。」

「異論なし。」

全員。

「なし。」

こうして、

妙にインパクトのある名前が決まった。


一方

理央たち。

学食で千佳から新しい情報が入る。

「土曜日。」

「公開リハ兼予選。」

「サ界出る。」

理央。

「行く。」

即答だった。

葵。

「偵察?」

理央。

「うん。」

「まだ橘さんの歌聞いたことない。」

「見とく。」

愛里。

「敵情視察(笑)」

理央。

「そんな感じ。」

真奈美。

「本気や(笑)」


そして

美優。

土曜日。

隆との正式なデート。

今度こそ。

ちゃんとしたデート。

約束していた。


そのため。

健太が提案した。

「土曜日前。」

「壮行会やろ。」

彩音。

「壮行会?」

「美優応援会。」

真帆。

「いいね。」

場所は当然。

美優の部屋。

この一週間、

毎日そこへ集まっている。

もはや第二の彩音宅状態になっていた。


健太と美優の父

一方。

健太は毎日のように、

美優の父へメッセージを送っていた。

写真。

料理。

食卓。

美優が少し笑っている写真。

皆で食べている写真。


『今日はここまで食べられました。』


『今日は少し笑いました。』


父は毎回返信する。

『ありがとうございます。』

『皆さんのおかげです。』


ある日。

健太が聞いた。

『美優の好きな食べ物って何ですか?』

返信。

『昔からエビフライです。』

『あとクリームコロッケ。』

『母の作る洋食が好きでした。』


健太。

「よし。」

その画面を美月へ見せる。

美月。

「分かった。」

「作る。」


美月

冷蔵庫を開けながら考える。

「エビフライ。」

「クリームコロッケ。」

「あと何合わせよう。」

料理モードに入る。


父がふと思い出す

その夜。

父は会社帰り。

ふと瀬川を思い出した。

(そういえば。)

(瀬川さん。)

(橘美月に興味持ってたな。)

メッセージ。


『例の橘さんですが。』

『今、美優たちと毎日料理を作っています。』


数分後。

瀬川。

『……え?』


『料理?』


『食べてみたい。』


さらに。


『お忍びで参加できません?』


父。

思わず笑う。

『本人に聞いてみます。』


美優の両親

父は母にも話す。

「一回。」

「食べてみたいな。」

母。

「私も。」

「娘がお世話になってる子でしょう?」


父は健太へ連絡した。


『金曜日。』

『もしご迷惑でなければ。』

『私たちも少し伺えませんか。』

『知人も一人連れて行きたいです。』


健太。

「知人?」


名前を見て。


「瀬川さん?」


「え?」


思わず声が出た。


彩音。

「誰?」


「芸能の人。」


「えぇ?」


美月に相談

健太。

「美月。」

「ゲスト増えてええ?」


美月。

「いいよ。」


「人数増えるだけ。」


「料理増やす。」


あまりにも普通だった。


健太。

「食材は?」


「あるもので。」


すると。

その日の夕方。

美優の父から再び連絡。


『食材はこちらで用意します。』

『少し良いものを持って行きます。』


そして。

翌日。

マンションへ届いた食材は、

学生ではまず買わないレベルだった。


大ぶりの有頭海老。

和牛。

新鮮な魚介。

契約農家の野菜。

チーズ。

生クリーム。

香辛料。


健太。

「……。」


「料亭?」


彩音。

「これ家で食う量ちゃう(笑)」


美月だけは。

箱を開けながら。

少し嬉しそうだった。


「面白い。」


「レシピ考えよう。」


メモ帳を取り出す。


エビ。


「エビフライ。」


「タルタル手作り。」


「クリームコロッケ。」


「あと。」


「魚介のカルパッチョ。」


「ローストビーフ。」


「スープ。」


「サラダ。」


ぶつぶつ呟きながら、

頭の中で献立を組み立てていく。


健太が笑う。

「料理始まると。」

「ほんま楽しそうやな。」


美月は小さく笑った。


「うん。」


「こういうの好き。」


こうして金曜日の夜。

美優を励ます食事会は、

いつの間にか

  • 美優の壮行会
  • 「サ界」の壮行会
  • 美優の両親との食事会
  • そして瀬川を迎える"お忍び試食会"

という、

想像以上に大きなイベントへと発展していくのだった。

I「良いね。金曜の会のエピソードをかいて。美月はなんだかんだはりきっているというか楽しそう笑。最終的に、とても学生のものとは思えない料理がテーブルに並ぶ。美優の両親と瀬川のための別室の席には、美月の料理を真帆らがちゃんと見た目も映えるように盛り付けていた。料理が8割がたできあがったタイミングで、美優の両親と瀬川が到着 (瀬川はマスク着用)。健太が案内し、別室へフェードアウト(料理の配膳は真帆が担当)。美優の両親と瀬川はまず、できあがった料理に驚いていた笑。実際に食べてみて、ちゃんと美味しいというか、人に出せるレベル笑。世界のいろんな国を旅し、国内外の美味しい料理を食べてきた舌の肥えた美優の両親でもしっかり美味しいと思うレベルであった。料理は関心される笑。瀬川はますますスカウトしたいとより強く思う笑。

一方、学生の面々も料理を食べて、美月に料理された普段食べられられないような高級食材を味わっている笑。美月はいつもより楽しそう笑。みんなで明日に向けた前向きな話をしている。美優は、テンションは高くはないが落ちてはいない。美月の料理を見慣れ、食べなれたからか、徐々に気にしないというか日常の景色みたいにスルー出来るようになりつつあるようだ笑。彩音が葵にみんなで料理を食べている写真を送る笑。そして理央と合コンに言っていた葵が理央にシェアして、は?という感じ笑。ますます対抗意識を燃やすが、ここで合コン会場のほうは料理の話 (たとえば理央は料理をつくるのかとか、得意料理は、みたいな話になる笑)。これを元にエピソードをつくって。二次会には進まず、一次会までで。

A

金曜日・夕方

美優の部屋 ― 壮行会

夕方。

美優の広いマンション。

キッチンでは、もう戦場だった。


「健太。」

「海老、殻むいて。」

「了解。」

「直人。」

「パン粉。」

「はい。」

「栞。」

「これお願い。」

「うん。」

「真帆。」

「盛り付けお願い。」

「任せて。」

「彩音。」

「サラダお願い。」

「りょーかい!」


誰もが動いている。

その中心だけは、

相変わらず静かだった。

美月だった。


今日は珍しく。

美月が少し楽しそうだった。

冷蔵庫。

食材。

鍋。

フライパン。

オーブン。

次々に使い分けていく。


健太が笑う。

「今日テンション高ない?」

美月は少し笑う。

「食材がすごい。」

「使ってて楽しい。」

橋本が笑う。

「料理人みたいやな。」

「違うよ。」

「趣味。」

そう言いながら、

美月は有頭海老を丁寧に下処理していく。


食卓

一時間半後。

テーブルには。

誰が見ても、

学生の食卓には見えない料理が並んでいた。


・特大エビフライ(自家製タルタル)

・蟹クリームコロッケ

・和牛ローストビーフ

・真鯛と帆立のカルパッチョ

・季節野菜のグリル

・オニオンスープ

・彩りサラダ

・手作りドレッシング

・炊き立てご飯

・パン

・デザート


彩音。

「……。」

「学生?」

真帆。

「レストランやん。」

健太。

「毎回更新してくるな(笑)」

橋本。

「食材もあるけど。」

「腕もある。」


別室

その頃。

真帆は別室のテーブルを整えていた。

料理を一皿ずつ、

見栄えも意識して並べる。

「こっちは大人用。」

彩音が覗く。

「映える(笑)」

真帆。

「せっかくだし。」


到着

インターホン。

健太が玄関へ向かう。

「はい。」

扉を開く。

美優の両親。

そして。

黒いマスク姿の男性。

瀬川だった。

「こんばんは。」

「今日はありがとうございます。」

健太も頭を下げる。

「こちらです。」

そのまま、

別室へ案内する。


真帆も軽く会釈し、

料理を最後に一品置く。

「失礼します。」

静かに部屋を出た。


大人組

瀬川はマスクを外した。

料理を見る。

数秒。

言葉が出ない。

「……。」

父も。

母も。

目を見合わせる。

「学生が?」

「これを?」


父が笑う。

「橘さんらしいですね。」

瀬川は小さく頷く。

「はい。」

「想像以上です。」


まずは。

エビフライ。

一口。


「……。」

瀬川が止まる。

「美味しい。」

父も食べる。

「これは……。」

「本当に学生?」

母。

「衣も軽い。」

「海老が甘い。」


カルパッチョ。

ローストビーフ。

スープ。

どれも。

ちゃんと完成していた。


父は世界中を出張している。

母も国内外のホテルで食事をしてきた。

二人とも舌は肥えている。

それでも。

「普通に美味しい。」

「店で出ても不思議じゃない。」

そんな感想だった。


瀬川は苦笑する。

「歌。」

「運動。」

「勉強。」

「料理。」

「……。」

「本当に困る。」

父が笑う。

「困る?」

「はい。」

「スカウトしたくなります。」

「ますます。」

三人は笑った。


一方

学生側。

「いただきます!」

一斉に箸が伸びる。


健太。

「うまっ!」

橋本。

「海老デカ!」

直人。

「これ店やん!」

彩音。

「クリームコロッケやば。」

栞も思わず笑う。

「今日すごい。」


美月は。

少し照れながら食べ始める。

「今日は。」

「食材が良かった。」

健太。

「いや。」

「腕や。」

坂井も頷く。

「食材だけじゃこうならん。」


美月は、

少しだけ嬉しそうだった。

普段より笑顔が多い。

「この海老。」

「揚げるの楽しかった。」

彩音。

「そこなん(笑)」

皆が笑う。


明日に向けて

健太。

「明日。」

「サ界。」

坂井。

「予選。」

直人。

「緊張してきた。」

栞。

「私も。」

橋本。

「俺乱入係。」

「それが一番意味分からん。」

(笑)


美月も笑う。

「楽しみ。」

その一言だけ。

でも。

皆の緊張が少しほぐれる。


美優

その様子を見ながら。

美優はエビフライを食べる。

(……。)

(美味しい。)

(また美月。)

一瞬思う。

でも。

その次には。

(最近。)

(毎日食べてる。)

(もう。)

(普通。)

気付けば。

美月の料理が、

少しずつ日常になっていた。

以前ほど比較して苦しくならない。

そんな自分に、

少し驚いていた。


彩音

「そうや。」

スマホを取り出す。

料理を撮る。

皆を撮る。

笑顔を撮る。

そのまま。

葵へ送信。


『見て(笑)』

『今日の晩ご飯(笑)』


数分後。

葵。

「……。」

「え?」

「学生?」

そのまま。

理央へ転送。


同時刻

理央。

今日は別の合コンだった。

スマホを見る。


写真。


豪華な食卓。

笑顔。

美月。

健太。

橋本。

直人。

皆楽しそう。


理央。

「……。」

「は?」

葵からメッセージ。

『橘さんの料理(笑)』

『今日(笑)』


理央は写真を拡大する。

(これ。)

(全部。)

(橘さん?)


その時。

向かいの男性が話しかける。

「九条さん。」

「料理する?」

理央。

「え?」

「得意料理とか。」

「あれば聞きたい。」

話題は、

偶然にも料理だった。


理央は少し考える。

「普通には。」

「作ります。」

「肉じゃがとか?」

男性が笑う。

「家庭的ですね。」

別の男性。

「料理できる人いいですよね。」


理央は笑顔を作る。

会話は続く。

でも。

頭の片隅には。

さっき見た写真。

美月が作った料理。

そして、

楽しそうに笑っていた皆の姿が、

ずっと残っていた。

(……。)

(明日。)

(音楽。)

(絶対見に行く。)

料理でも。

歌でも。

何でもいい。

今度こそ、自分の目で橘美月という人を見極める。

そんな思いを胸に、

理央は静かにワイングラスへ手を伸ばした。

一方、美優の部屋では一次会が穏やかな空気のままお開きとなり、それぞれが翌日の大きな一日に向けて帰路につくのだった。

I「良いね。この続きをいこう。料理が片付き、美月はせっかくだからと追加でデザートを出す笑。真帆が大人部屋にデザートとコーヒーを運ぶと、美優の父から美月と話がしたい、言われて美月が呼び出される。美優の両親、瀬川と美月が挨拶。ここで瀬川が再び本気スカウト、美月はお礼はいいつつも、学業を優先したいと断る笑。ここで、美優の父が、きけば美月が製薬会社 (栞父のとこ、国内大手) のCMに出演したことで、美優の父が自分たちの会社のCMにもどうか?という話を持ち掛ける (企画)。美優の父は、美優がアイドルになりたかったこと、美月の存在、美月に興味をもつ瀬川、美優の友達たちを総合的に見て、美月が主役で美優が出演する美月の友達らがエキストラのCMを提案。せっかくだからみんなでうちの会社のCMにでないか、と。美優の父は、関西の大手不動産会社の経営者で、企業向けテナントの開発や、居住向けの不動産など、事業は多岐にわたっている。一般人の学生を起用する意味はある、ということでの提案だった。(美優の父としては、彩音ら美優の友達に感謝していて、美優の想い出づくりの一環みたいに考えているらしい)。美月はそういうことなら良いですよ、と承諾。美優の父は、ここで瀬川に協力を依頼する。その後どうなるかはきみたち次第、的な感じ笑。後で健太らにも伝えるとのこと笑。美月はその話が終わると、うちに帰った笑。風呂に入って寝るらしい笑。美月と同じくらいのタイミングで、栞→実家へ、橋本→楓花へ、坂井→明日の準備に向けて、直人→同じく明日の準備にむけて、が帰宅。健太、真帆、彩音が美優のうちに泊まることに。帰り際に美優の父が、せっかくだからと健太、真帆、彩音を呼び出し (美優の父と連絡先を交換した三人)、CMの話をだして三人は快諾笑。日程調整を健太が代表して土日に皆の予定を調整することになった笑。同時に瀬川は明日美月が歌うことを知って、事務所の上も連れて改めて美月をスカウトするつもりのようだ笑。美優は、戸惑っているけれど、今は比較でへこんでいるわけではないようだ。これを元にここまでをエピソードにしてみて。

A

金曜日・夜

美優の部屋 ― 食後

料理もひと段落し、皆が満足そうに椅子へもたれていた。

「ごちそうさまでした。」

「ほんま美味しかった。」

「毎回更新されるなぁ。」

健太が笑う。

その時、美月がふと思い出したように立ち上がる。

「あ。」

「まだある。」

「え?」

彩音が振り返る。

「デザート。」

「せっかくだから。」

そう言って冷蔵庫から取り出したのは、冷やしていたガラスの器。

季節の果物を使ったコンポートに、軽いムース、バニラアイスを添え、ミントを飾ったシンプルな一皿。

真帆が思わず笑う。

「まだ出てくるの?」

美月は少し照れながら答える。

「食材余ってたから。」

「……作った。」

「趣味やな、もう。」

健太が笑う。

皆も笑った。


別室

真帆は大人用の器にも丁寧に盛り付ける。

デザート。

そしてコーヒー。

静かにノックをして部屋へ入った。

「失礼します。」

料理を並べ終えたところで、

美優の父が声を掛ける。

「真帆さん。」

「はい。」

「もしよければ。」

「橘さんと少しお話しできますか?」

「もちろんです。」

真帆はすぐリビングへ戻る。


「美月。」

「ん?」

「お父さんが呼んでる。」

「分かった。」

美月はエプロンを外し、

軽く髪を整えると、

そのまま別室へ向かった。


大人たちとの会話

「失礼します。」

「こんばんは。」

父も母も立ち上がる。

「今日は本当にありがとう。」

「ごちそうさまでした。」

美月は軽く頭を下げる。

「こちらこそ。」

「ありがとうございました。」

瀬川も笑う。

「また会いましたね。」

「はい。」


少し雑談をした後、

瀬川が真面目な表情になる。

「橘さん。」

「はい。」

「改めて。」

「うちに来ませんか。」

部屋が静かになる。

「今回。」

「料理も見ました。」

「CMも見ました。」

「万博も。」

「歌も。」

「身体能力も。」

「正直。」

「これだけ揃っている人はほとんどいません。」

「本気で来てほしい。」


美月は少し困ったように笑う。

「ありがとうございます。」

「すごく嬉しいです。」

「でも。」

「私は今は大学を優先したいです。」

「薬学をちゃんと勉強したいので。」

瀬川は苦笑した。

「やっぱり。」

「変わらないか。」

「はい。」

「すみません。」

「いや。」

「謝ることじゃない。」

瀬川は笑った。

「それが橘さんだ。」


新しい提案

すると、

今度は美優の父が口を開いた。

「実は。」

「一つ提案があります。」

全員が父を見る。

「うちの会社も。」

「そろそろ新しいCMを考えているんです。」

瀬川も興味を示す。

「ほう。」

「不動産会社ですから。」

「企業向け。」

「住宅向け。」

「学生向け。」

「色々あります。」

父は少し笑った。

「今日皆さんを見ていて思いました。」

「一般の学生だからこそ。」

「伝えられる雰囲気がある。」

「それに。」

「娘がお世話になっている皆さんへの感謝もあります。」

少し間を置いて続けた。

「橘さん。」

「主役で出演していただけませんか。」

美月は少し驚いた。

「私ですか?」

「はい。」

「そして。」

父は笑う。

「美優も。」

「一緒に。」

「さらに。」

「今日いた友達もエキストラで。」

「皆で一本作りませんか。」

部屋が静かになる。


美月は少し考えた。

「……。」

「そういう理由なら。」

「私は大丈夫です。」

「え?」

父が少し驚く。

「本当に?」

「はい。」

「皆で出るなら。」

「楽しそうですし。」

「ありがとうございます。」

父は嬉しそうに頷いた。


瀬川へ

父は瀬川を見る。

「もしよければ。」

「制作面で協力していただけませんか。」

瀬川は笑った。

「もちろん。」

「こちらこそ。」

「その後。」

「どうなるかは。」

「皆さん次第ですね。」

少し意味深に笑う。


リビング

話が終わると、

美月は普通に戻ってきた。

健太が聞く。

「何の話?」

「CM。」

「え?」

「また?」

「うん。」

「皆で出るかも。」

「えぇ?」

彩音が声を上げる。

真帆も驚く。

「皆?」

「うん。」

「不動産会社の。」

「CM。」

あまりにも普通に言うので、

健太が笑った。

「橘。」

「そういう話を普通に持って帰ってくるな(笑)」

美月は首を傾げる。

「そう?」

「うん(笑)」


それぞれ帰宅

時計を見る。

美月が立ち上がる。

「じゃあ。」

「帰るね。」

「明日早いし。」

健太。

「風呂入って寝るんやろ。」

「うん。」

「いつも通り。」

「平常運転(笑)」

皆が笑う。


栞も立ち上がる。

「私も帰る。」

「実家だから。」

橋本。

「俺も。」

「楓花と電話。」

坂井。

「明日の最終確認。」

直人。

「カホンもう一回叩く。」

皆、それぞれの理由で帰っていく。


帰り際

玄関で。

美優の父が健太たち三人を呼び止めた。

「健太君。」

「彩音さん。」

「真帆さん。」

三人が振り向く。

「先ほどのCMの件。」

「もし皆さんも出演していただけるなら。」

「ぜひお願いしたい。」

彩音。

「え?」

真帆。

「私もですか?」

「もちろん。」

健太は笑った。

「面白そう。」

「やります。」

彩音。

「私も!」

真帆も少し照れながら頷く。

「よろしくお願いします。」

父は笑った。

「ありがとう。」

「日程は。」

「健太君がまとめてくれる?」

「了解です。」

「みんなに聞きます。」

自然と、

健太が窓口になっていた。


そして瀬川

マンションを出る。

瀬川は父へ言う。

「明日。」

「橘さん。」

「歌うんですよね。」

「ええ。」

「学園祭の予選です。」

瀬川は笑った。

「じゃあ。」

「今度は一人じゃありません。」

父が首を傾げる。

「?」

「事務所の上も連れて行きます。」

「本気で見てもらいます。」

「まだ諦めません。」

父は思わず笑った。

「相当ですね。」

「はい。」

「久しぶりなんです。」

「ここまで欲しいと思った人は。」


リビングでは、

彩音と真帆が布団を準備している。

健太はソファで寝る準備。

美優はその様子を静かに見ていた。

CM。

音楽。

ミスコン。

いろいろな話が一気に動いている。

けれど、不思議と今夜は胸が苦しくなかった。

美月のことを見ても、

「また比較してしまう」という感覚よりも、

「すごい人なんだな」

と少し冷静に受け止められている自分がいた。

そして、明日は自分も隆との約束がある。

美優は小さく息をつき、少しだけ穏やかな表情で言った。

「……明日、ちゃんと行ってくる。」

彩音はにっこり笑う。

「うん。」

真帆も頷く。

「楽しんできて。」

その言葉に、美優は静かに「うん」と返した。

土曜日は、それぞれにとって大きな一日になろうとしていた。

次回:「あのボーカル、本当に学生?」学園祭予選会 ― サ界の余韻。

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